「着物をレンタルして式典やパーティー、お出かけに行きたいけれど、冬に着物を着るのは寒くて風邪を引いてしまいそう…」そんな理由から、冬の着物に抵抗を感じてはいませんか?
例え寒い冬でもしっかりと防寒対策をすれば、冬の着物を思う存分楽しむ事ができます。
今回の記事では、冬の着物の防寒対策について詳しく解説していきます。
「冬の着物」は寒い?京都や浅草でレンタルする際は注意!
東京や京都の冬、実際にはどのくらい寒いのでしょうか?
気象庁のデータによると、東京の12~2月の平均気温は6.1℃です。12月も初旬を過ぎると10℃を下回る日が増えてきます。雪国の寒さとはまた違った「乾燥した寒さ」が特徴で、昼夜問わず寒さを感じやすくなります。(参考:気象庁-東京の平均気温)
同じく12~2月の冬の京都は平均気温5.6℃程です。東京の平均気温よりも約1℃低く、最も寒い日では気温マイナス2℃程になる事もあります。京都は三方が山に囲まれているという地形上、冷気が溜まりやすく、冬は特に「京の底冷え」とも言われるほどの寒さです。(参考:気象庁-京都の平均気温)
寒いイメージのある東京と京都ですが、しっかりと防寒対策をすれば寒さに凍える事無く着物を楽しむことができます。
着物をレンタルする場合、コートやファーなどのアウターのレンタル代は多くの場合別途料金です。しかし、普段着ているインナーや小物を使う事でバッチリ防寒対策を行う事もできるので、次の項目からは具体的な防寒対策の方法を一つずつ解説します。
冬の着物レンタルの防寒対策とおすすめ防寒グッズ
寒い時期に着物を着る際、特に寒さを感じやすいのは、首、手首、足首の「3つの首」です。着物の構造上、衣紋を抜くため首は露出し、袖口のあきや、裾まわりからも冷気が入りやすくなってしまいます。
冬に着物をレンタルする時に、この「3つの首」を冷やさないためにはどの様な所に注意すれば良いのでしょうか?
おすすめ防寒グッズと、購入する場合のおおよその価格について見ていきましょう。
ファーや羽織はレンタル可能。ただし追加料金が掛かるので注意
着物を着用するときは肌着に、襦袢に帯にと様々重ねるので、胴回りの部分は心配せずとも割とあったかいです。
そのため寒い季節でも、ファーや防寒用の羽織りもの「道行(みちゆき)」や、「道中着(どうちゅうぎ)」、「羽織」などを一枚着るだけでもグンと暖かくなります。
しかし多くの場合、レンタル着物一式の中には、防寒用のファーや道行、道中着、羽織等は含まれていないため、別途料金が発生することになります。
羽織 | 道中着 | 道行 | |
着物 | |||
格 | 低め | ⇔ | 高い |
レンタル 相場 |
2,000~ 5,000円 |
5,000~10,000円程 |
格が高く、留袖や訪問着に合わせて着る道行や道中着のレンタル価格は、5,000~10,000円程です。
小紋などカジュアルな着物に合わせる羽織の場合は、2,000~5,000円がレンタルの相場となっています。
着物と組み合わせるのが楽しい羽織ですが、もし追加料金が掛かるのはちょっと…という場合は以下の対策がおすすめです。
ヒートテックやレギンスなどインナーは効果大
肌着の下にヒートテックを着たり、レギンスを履いたりする事で、体感温度はかなり上がります。
ただ、上半身にヒートテックを着る場合は少し注意が必要です。
ヒートテックは、肌襦袢の下に着用しますが、この時、普段の感覚で着てしまうと、着物を着た時に衣紋を抜いた衿の部分からヒートテックが出てしまう事があるからです。こうなるとせっかくの着姿が台無しになってしまいます。
ヒートテックを着る時には、襟ぐりの広く開いているものを選び、長襦袢を羽織った段階ではみ出していないかどうかを必ずチェックしましょう。
また、ヒートテックをわざと前後ろ逆に着ることによって衿元からはみ出させないテクニックもあります。ぜひ試してみて下さい。
またヒートテックの袖丈も手首までの長いものの場合は、着物の袖口から見えてしまうので、7分丈を選ぶなどしてはみ出さない工夫をしましょう。
ヒートテックは、1,500円前後で購入することができます。
着物の裾周りは、いわば「生足でタイトスカートを履いている」ようなものです。そのため寒い冬は足元から冷気が入り込み、かなり寒い思いをしてしまいまうでしょう。そんな時は、裾避けや肌着の下にレギンスを履くことで、冷気から足を強力に守ることができます。
レギンスは着物を着た状態では表からは見えない部分なので、特に心配はいりません。それでも、「階段などを上がる時にレギンスが見えてしまうのが気になる」という場合には、あらかじめ丈を短くしておいたり、折り上げておくなどしておきましょう。
レギンスは1,000円前後で購入できます。
ちなみにタイツでは指が割れていないため、足袋が履けなくなってしまします。そのためレギンスやトレンカを用意しておきましょう。
首元にはショールやマフラーが必須!温度調節も簡単
着物の場合、衣紋を抜くため首元、特に首の後ろ側をどうしても露出してしまう事になります。寒い冬はショールやマフラーなどで、首元を温めましょう。
ショールやマフラーは簡単に首に巻き付ける事ができ、室内などの暖かい場所では、すぐに外すことができるので、大変便利です。
特に、ショールは使い勝手が良く、広げて羽織っても、くしゅくしゅ畳んで首元にふわっと巻き付けても良く、更に、足元が寒いと感じた時にはひざ掛けにもなったりと、一枚で何役にもなってくれるので大変重宝します。
マフラーやショールはわざわざ着物用のものを買うことはありません。室内に入れば外してしまうものなので、ユニクロなどの3,000円程度のもので十分です。
手袋やアームウォーマーは長めのものが防寒性◎
着物の構造上、袖口にかなりのすき間があるので、寒い冬などはそこから冷気が入り込んで腕や体を冷やしてしまいます。そんな時に寒さ対策の強い味方になってくれるのが、手袋やアームウォーマーです。
防寒用として手袋を選ぶ場合は、長めのものを選ぶと手首もすっぽりと隠れ、暖かさが更にアップします。和装用のロング手袋の価格は、3,000円前後です。
また、アームウォーマーは着物を着た後でも付け外しが簡単で、暖かい室内に入った時にはすぐに取り外せるので、簡単に温度調節する事ができます。およそ1,500~3,000円の範囲で購入することが可能です。
ポンチョタイプのコートも相性ばっちり
ポンチョタイプのコートも簡単に羽織る事ができ、暖かく、着物との相性もバッチリです。裾が広がっているので、成人式の帯結びなどのように、立体的で華やかな帯結びの場合でも、帯の型崩れを気にする心配もありません。
ファー付きものや、ファーが取り外せる2WAYタイプのもの等様々なタイプのポンチョがあります。
ただし価格は、8,000円程から、高い物では10万円弱するものもあり、他の物よりも価格が高めです。
そのため「あまり着物を着る機会がなく、ポンチョも着物を着た時にしか着ない」という場合は、レンタルしたほうが良いかも知れません。レンタルする場合の相場は約3,000~5,000円程です。
カイロは貼らないタイプを用意
寒い冬にはカイロがあるととても便利です。
ただ「外は寒いし、貼るカイロを背中に貼って出かけよう」という考えは、とても危険なので注意してください。
着物の上半身にカイロを貼ろうと考えた場合、着物を着た時に外から見えない様に、長襦袢に貼る事になります。そうすると、暖かい室内に入てカイロを取り出したくなっても、着物を脱がない限りは取る事ができなくなってしまうのです。
なので「上半身にカイロは貼らない」は鉄則です。
腰やお尻などに貼り付けた場合は取り外す事はできます。しかし、上手に取り外さないと着物が着崩れてしまう可能性もあるので、注意しましょう。
カイロは貼らないものを用意して、必要な時にカバンなどから取り出して使うと良いでしょう。
まとめ|冬の着物レンタルは万全の防寒対策を。「三つの首」を温めるのが大事
冬に着物をレンタルする場合、工夫次第で様々な防寒対策をする事ができる事が分かりました。
防寒対策の基本は、首、手首、足首の「3つの首」を温める事です。万全の防寒対策をして、冬の着物ライフを楽しんで下さい。