琉球紅型（びんがた）の種類や特徴とは。コーディネート方法や買取相場も紹介。

着物好きの人なら一度は耳にしたことがある「琉球紅型」。

沖縄特産の着物である事は知っていても、その特徴や製造工程を詳しく説明できる人はもしかしたら少ないかもしれません。

そこで今回は「琉球紅型」について、歴史や特徴、製造工程や買取相場など詳しく解説していきます。

琉球紅型（びんがた）とは

まずは、琉球紅型の特徴と歴史をみていきましょう。

琉球紅型の特徴｜沖縄県唯一の「後染め」織物

琉球紅型は、沖縄県首里市周辺で作られる染物の総称です。

沖縄を代表する着物には、「首里織」、「芭蕉布」、「八重山上布」等がありますが、どれも先染めの織物（糸を染色してから反物を織る）で、琉球紅型は沖縄県唯一の後染めの織物（白生地に染色し模様を表現する）です。

紅型の「紅」は「多彩な色」、「型」は「模様」を意味します。

沖縄の日差しの下でも色褪せしにくい、鉱物から採取した「顔料」を使い、ビビットな色使いと配色で染め上げられているのが特徴です。

琉球紅型の歴史｜起源は14世紀頃。現在では沖縄県無形文化財、国の伝統工芸品に

琉球紅型の歴史は、14～15世紀までさかのぼります。

当時の琉球王朝は、中国やジャワ、インドや日本などの近隣諸国と活発に交易を行っていて、その中で伝わった染色技術を取り入れ、18世紀頃に確率された染色技法です。当時、紅型の着物は身分の高い王族しか身に着ける事ができませんでした。

現在では、沖縄県の無形文化財、国の伝統工芸品に指定されています。

琉球紅型の種類｜紅型の他、藍型、筒描きがある

琉球紅型には、2種類の染色技法があり、また使われている色により2つのタイプがあります。

染色技法の種類

（画像引用：琉球びんがた事業協同組合）

琉球紅型は、色を付けない模様以外の部分に糊を置き防染し、その後模様部分に色を挿していきますが、防染の方法は下記の2種類です。

主に着物には型染、風呂敷や幕には筒描きを用います。

色の種類

琉球紅型には「紅型」と「藍型」の2つのタイプがあり、それぞれ色使いには特徴があります。

「紅型」は、鮮やかな色を何種類も使って華やかに染められているのが特徴です。一方の「藍型」は、模様の一部分にアクセントとして墨を使いながら、琉球藍を使いその濃淡で模様を表現しています。

琉球紅型の工程｜ほぼ全ての工程を一つの工房で行う

 

（画像引用：琉球びんがた事業協同組合）

琉球紅型ができるまでには以下の工程があり、その全ての工程を一つの工房で行います。

• 型彫り（カタフィ）
• 型附け（カタチキ）
• 色差し（イルジヤシ）
• 隈取り（クマドウイ）
• 蒸し・洗い
• 糊伏せ（のりふせ）
• 地染め（じぞめ）
• 蒸し・洗い

それぞれの工程で行われる作業を以下簡単に説明します。

デザインした図案を元に型紙を作る工程です。「シーク」と呼ばれる小刀を使い「突彫り」という技法で型紙を細かく突きながら型紙を彫り進めます。下敷きに「ルクジュー（島豆腐を2、3ヶ月乾燥させたたもの）」を使う事で、適度な弾力で彫りやすく、更に油が刃の切れ味を保ってくれます。
彫り上がった型紙の上から、紗を張れば型紙の完成です。

防染糊を型紙の上からヘラを使って均一に塗り、生地に模様を写します。
この時の糊の状態は天候にも左右され、糊の湿気が多いと浸透しすぎて糊がにじみ、糊が乾燥しすぎていると、ひび割れが起き、このヒビの部分から染料が漏れて模様がにじんでしまいます。
この工程は仕上がりを左右する為、熟練の技が必要です。

模様の部分に色を置いていきます。染料は鉱物から採取した「顔料」に大豆の汁から作られる「豆汁（ごじる）」という液体を混ぜる事で、顔料の定着を良くします。
色を塗る順番にも決まりがあり、赤等の暖色系から寒色系の順番で色を差すのがルールです。
顔料は、粒子が粗いため生地の奥まで浸透しづらく、付け筆（つけふで）で色を付けてから、刷筆（すりふで）を使い、生地の奥まで顔料を刷り込む「二度刷り」を行う事で、生地に顔料を定着させていきます。

染色した模様の部分に「隈取り」という技法を使って、ぼかしを入れていきます。色差しで使った色によって隈取りの色が決められているのが特徴です。
この隈取りを行う事で、模様に立体感を出します。

顔料を定着させるために高温の蒸し器で約1時間蒸し、その後糊を水洗いして落とします。

地染めをするために、色を刺した模様の部分を防染を行う工程です。

地色を染めます。

地色を定着させるために再び高温で蒸し、糊を取り、乾燥させて完成です。

琉球紅型の作家｜人間国宝の玉那覇有公氏などが有名

琉球紅型は人気の高い着物ですが、その中でも人間国宝の紅型作家、玉那覇有公氏が手掛けた紅型は特に有名です。

玉那覇有公氏は、1936年（昭和11年）生まれの琉球紅型の第一人者で、1996年60歳の時に紅型初の人間国宝に認定されています。

難易度の高い「両面染め」（着物地の裏表に寸分たがわず同じ模様を染める技法）や、独自に開発した「二枚異型染め」（通常1枚使用する型紙を2枚使う事によって複雑な模様を表現する技法）などの卓越した技を持ち、多色を使いながら上品に紅型を表現する玉那覇有公氏の紅型は人気が高く、高値で取引されています。

 

紅型（びんがた）の着物や帯に関するQ&A

紅型に関する疑問をQ&A方式でまとめてみました。

Q.琉球紅型と京紅型、江戸紅型の違いや見分け方は？

A.配色で見分けることが可能。

紅型と呼ばれる着物は沖縄県の琉球紅型だけではなく、他にも京紅型、江戸紅型などがあります。

京紅型は、京都で作られる紅型です。

琉球紅型が鉱物から採取した顔料を使って染色するのに対し、京紅型は、友禅染の染料を色差しに使います。

琉球紅型のビビットな色使いとは少し違い、はんなりとやわらかい上品な雰囲気が特徴です。

江戸紅型は、東京で作られている紅型です。

琉球紅型と同じ様に、顔料を使い生地に色を差していきます。琉球紅型との違いは「色合いの渋さ」です。トーンが渋めに抑えられていて、粋な雰囲気が特徴的です。

京紅型も、江戸紅型も琉球紅型と工程はほとんど同じですが、使う染料や、配色などが異なるためすぐに見分ける事ができます。

Q.紅型の着物や帯のおすすめコーディネートは？

A.色柄にメリハリをつけるとバランスが良くなる

基本的には柄合わせは自由ですが、全体の印象をまとめるには「メリハリ」を意識する事がポイントです。

ビビットな多色使いが特徴の紅型の着物には、ワントーンのシックな帯を合わせるとゴチャつかず全体の雰囲気をまとめる事ができます。

また、柄の細かい紅型の着物に柄の帯を合わせる場合は、大柄な帯を合わせましょう。こうする事で、着物と帯のメリハリを付ける事ができます。

色使いが鮮やかな紅型の名古屋帯には、落ち着いた渋い色合いの大島紬、や結城紬などがおすすめです。

また、紅型の帯と同じ産地の沖縄で作られている琉球紬、久米島紬などと合わせる事で、全体の雰囲気がしっくりと調和します。

Q.紅型の生地を使ったおすすめグッズは？

A.小物をワンポイントにするのがおすすめ

紅型の生地を使ったグッズはとてもおしゃれなのでおすすめです。

紅型のバッグや、ストールなどは洋服にも取り入れやすく、コーディネートのワンポイントに、また、紅型の着物地で作ったマスクなどは、和服にも洋服にも合い、おしゃれ度もアップします。

手ぬぐいなどは、てぬぐい専用の額に入れてお部屋に飾る事で素敵なインテリアになります。
紅型を生活の様々なシーンに取り入れ楽しみましょう。

琉球紅型（びんがた）の買取相場の目安

琉球紅型は完成までに手間がかかり、元々の値段が高いことから、着物緒の中でも比較的高値が付きます。

もちろん着物の状態にもよりますが、保存状態の良い場合のおおよその買取相場は以下の通りです。

一般的な「正絹（絹100%）」の着物の買取相場が、数千円から10,000円程度なので、これと比較しても琉球紅型の着物の買取相場が高い事が分かります。

琉球紅型（びんがた）の着物や帯が高価買取されるポイント

沖縄県唯一の後染めの織物である琉球紅型。せっかくならできるだけ高く買取してほしいですよね。

高価買取へと近づけるポイントは以下の4点。

• サイズは大きいものの方が高く売れやすい
• シミや汚れ、生地の傷みがなく保存状態がいいほど価値が高い
• 証紙、落款など着物の価値を証明する付属品は必ず見せる
• 専門の買取業者に見てもらうのが何より大事

知らないと大損する可能性もあるので、買取に出す前にしっかりと確認しましょう。

サイズは大きいものの方が高く売れやすい

着物のサイズについては、大きいものの方が高価買取されます。

というのも着物は着る人に合わせて仕立て直すことが一般的なもの。

大きいものを小さくすることは割と簡単にできる上、おはしょりなどで調節も可能ですが、逆に着物が小さい場合は、縫い代部分に生地が余っていないと広げて大きくすることは難しくなってしまいます。

大きいものの方が融通が利く分買い手が付きやすいので、高価買取が期待できます。

シミや汚れがなく保存状態がいいほど価値が高い

シミや虫食いなどについては、表や裏に関係なく、ひとつでもあれば査定価格に影響が出ます。夏に着るものなので特に汗シミを気にしておきましょう。

フリマアプリやネットオークションでの出品だと、シミの有無で買い手がつくかどうかがかなり左右されてしまいます。

できれば染み抜きした状態で出品したいところですが、クリーニングに出せばその分利益がマイナスになってしまうので考えどころですね。

ただしこれはあくまでフリマアプリなどを用いた場合の話。

専門の買取業者では、シミ抜きで取れる汚れかどうかも判断してくれ、それを加味した価格をつけてくれます。よっぽどひどい状態でなければ、買取不可とはなりません。

もう一つ気にしておきたいのがシワと匂い。

査定に出す前に陰干しをして余計なシワや防虫剤の匂いなどを取り除いておきましょう。

証紙、落款など着物の産地や価値を証明する付属品は必ず見せる

証紙や落款は高価買取のキーポイント。

証紙とは、簡単にいうと品質証明書のようなものです。着物の素材や産地、織り方、染め方などが記載され、「この着物は高級品である」と保証してくれます。

琉球紅型であれば、「沖縄県紅型検査済之証」や、「伝統工芸品マーク」と書かれた証紙が布に張り付けられています。

証紙が付属している場合は、大切に保管し査定時は必ず提出しましょう。

また、落款とは、着物作家のロゴマークのようなものです。着物作家には独自の落款(ロゴマーク)を持っている場合があり、着物を手がけた際に「自分が仕立てたものである」と証明するために刻印します。

有名な作家であればその価値を証明することができ、類似品と見分けることもできます。落款はおくみか襟先にあることが多いです。

専門の買取業者に見てもらうのが何より大事。できれば複数の業者に見積もりを

着物を売る方法はいくつありますが、高額買取されやすいのはやはり専門の買取業者です。着物専門の査定士は、実績も豊富なので大切な着物を正しく評価してくれ、安く買いたたかれてしまう心配がありません。

買取業者に依頼したい場合、インターネットや電話での査定依頼が簡単です。査定は自宅や店頭宅配などの種類があるので、予定に合わせて選ぶこともできます。

査定価格に同意すれば、その場で買い取ってもらえるので手間もなし。もし買取価格に納得できなくても、査定自体は無料なので損になることはありません。

またできれば一社ではなく複数の業者に査定を依頼するのも、より高く買い取ってもらえるポイントになります。

琉球紅型を高価買取してくれるおすすめ買取業者

琉球紅型を買取査定してもらいたい場合におすすめの着物買取業者を紹介します。

バイセル

バイセルは2年連続「出張買取顧客満足度一位」の実績ある着物買取業者。

全国対応の出張買取がメインで、北海道から沖縄まで最短即日で査定をしてくれます。

出張費や査定料は当然無料で、少量の着物でも査定が可能。逆に大量に着物を売りたいときも、着物専用倉庫を持っているバイセルならば無料で引き取ってもらえます。

ただし持ち込み買取の場合、当日持ち込み可能な店舗数は、名古屋栄セントラルパーク店、横浜元町店、有楽町店、東京本社（要予約）の4店舗と少ないので要注意。

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➡着物買取「バイセル」の評判や詳細

福ちゃん

福ちゃんは600万件もの買い取り実績のある着物買取店。

出張、宅配、持ち込みの買取査定が可能です。ただし店舗数は少なめでエリアが限られているため、店舗の無い地域では出張買取か、宅配買取を選ぶようにしましょう。

また、メールやLINEを使った簡易査定もできるので、実際の査定を依頼する前に目安を知りたい、他の業者との見積もりを比較したいというときにも便利に使えます。

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➡着物買取「福ちゃん」の評判や詳細

まとめ

華やかな色彩が目を引く琉球紅型。着るだけでぱっと気分が明るくなりますよね。

時間をかけて作られた琉球紅型は着物の中でも高価買取されやすいので、もし大切に着てきたけれどもう使わない着物がある場合は、一度買取専門業者に見てもらうのがいいでしょう。

着物の知識のある査定員であれば鬼門尾の価値をきちんと見極めて適切な価格をつけてくれますよ。