着物の基礎知識

着物の正しい保管場所と保管方法。おすすめのケースやラックと、たとう紙、保存袋の使い方まとめ。保管サービスを使うという手も

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着物-保管 着物の基礎知識
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「譲り受けた大切な着物、どうやって保管したらいいんだろう?」「自分の着物を持ってみたいけど、お手入れが難しそう」など着物の保管には難しい点や、不安な点が多いですよね。

誤った保管方法では、大切な着物に虫食いやカビが発生してしまうことも。

本記事ではそんな方にぜひ知ってほしい、着物の保管方法について紹介します。

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着物の保管には日光と湿気がポイント

着物にとって敵となるのは日光と湿気

そのためこの二つをいかに除くかが、着物保管において重要なポイントとなります。

まず、日光に含まれる紫外線は、着物の染料を分解し、色あせや変色を引き起こします

お気に入りの着物は部屋に飾って眺めていたいところですが、色鮮やかさを長く保つには我慢しましょう。

日光に加えて蛍光灯からも紫外線が出ていますので、着ないときは必ず暗所で保管します。

さらに、湿気はカビの原因となります

現代の住宅は昔に比べ気密性が高く、湿気がこもりやすい構造です。大切な着物を守るためには、意識的な湿気対策が必要になります。着物の保管には風通りの良いところを選びましょう。

また、湿気が多いと害虫も寄ってきてしまいます。久々に着物を出したら虫食いが、なんてことにならないよう、虫干しをしたり防虫剤などを用いてしっかり対策するのが大切です。

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着物のおすすめの保管方法と保管場所

ここではおすすめの保管方法を4つ紹介します。着物の保管に使えるスペースや予算にあわせて、採り入れやすいものを選びましょう。

最適なのは桐たんす

桐は、「木」に「同」と書く漢字からもわかるように、木のようであって木ではなく、草に分類されるもの。それゆえ他の木材にはないような、衣類の保管に適した特性も持っています。

【桐の特性】

  • 調湿性…湿度を管理するのに適している
  • 抗菌性…カビの発生を防ぐことができる
  • 難燃性…燃えにくく、中の衣類を守ってくれる

桐たんすを使ったことがある人は、日によって開けやすさが違うことを感じたことがあるのではないでしょうか。

桐は、周りの湿度が高いときは水分を取り込んで膨張し、内部に湿気が入らないようになり、反対に湿度が低いときは水分を放出して収縮することで通気性が良くなります。

しかし、調湿性に優れているとはいえ限度があるので、置き場所はできるだけ湿気のこもらない場所を選びましょう。

換気ができ、風が通るところだとなお良いです。

さらに、桐はタンニンというお茶などに含まれる渋み成分を持っており、これがカビの繁殖を防いでくれます。また、害虫を寄せ付けないので防虫効果も期待できます。

また、桐の発火点は425℃と非常に高温です。そのため昔から大切なものは桐の入れ物に保管されてきました。火災により桐たんすが焼けてしまっても、中に入っていたものは無事だったという事例が多くあります。

ただし桐たんすは小さいケースタイプのものでも15,000円程度はする高価なもの。

最適なのは間違いありませんが、なかなか手を出しにくいという人は、以下の方法でも着物を保管できます。

プラスチックなどの衣装ケースは、湿度と温度の管理に気を付ける

桐たんすが最適とはいえ、高価で場所をとってしまうのが悩みどころ。その場合は気軽に入手できるプラスチックケースでも代用は可能です。

ただし、プラスチックケースは桐箪笥に比べ湿気がこもりやすいので、「ケースの底に除湿シートを敷く」「収納後もこまめに開け閉めして風を通す」などさらに気を使ってあげなくてはいけません。

プラスチックケースのサイズは浅型のものがおすすめ。

いくら丁寧に畳んで収納しても、何枚も重ねて詰め込んでしまうと、強い折りジワがついてしまいます。できれば2~3枚ずつ、多くても5枚以下にとどめた方が良いでしょう。

また桐たんす同様、置き場所にも要注意。湿気は下に溜まりやすいので、高さのある場所を選びます。温度変化の激しい場所や加湿器を使用する部屋は、結露が発生しやすいので避けた方が無難。

さらに、ケースは床や棚に直置きせず、すのこに載せて通気性を確保すると良いでしょう。すのこは桐製以外に、お手入れが簡単なプラスチック製も使い勝手がよくおすすめです。

【プラスチックケースで保管するポイント】

  • 湿気をこもらせないため除湿を心がける
  • 浅めのケースを選ぶ
  • すのこの上に乗せて、なるべく高い位置に置く

スチールラックは日焼け防止にカバーなどで覆う

お部屋や収納したいものに合わせてアレンジできるスチールラックは、非常に便利な収納用品です。

なんと言っても通気性が抜群ですし、オープンシェルフで出し入れもしやすいですね。便利な反面、いくつか気をつけなければならないことがあるので、きちんと対策はしておきましょう。

まず注意したいのは、色褪せの原因となる日光や電灯が当たらないようにすること。スチールラック用カバーや布などで全体を覆うようにしてください。ホコリ除けにもなります。

さらに通気性抜群であるがゆえに、湿気がない場所に設置することも重要になります。風通しが良く、できるだけ日の当たらない場所を確保しましょう。また、低い棚には湿気が溜まるので注意してください。

害虫が気になる場合には、着物を薄型の収納ケースに入れてスチールラックに並べ、たんすのように使うという方法もあります。

気密性が高まるので虫やホコリをよけることができますが、定期的に開け閉めして風を通すことをお忘れなく。

【スチールラックで保管するポイント】

  • カバーなどで光を遮断する
  • 風通しのいい場所に置く

着物専用の保存袋(着物キーパー)もおすすめ

普段あまり出し入れしない方には、着物キーパーなど着物専用保存袋がおすすめです。押し入れやクローゼットなど好きな場所に保管することができます。

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使い方は、収納したい着物をよく乾燥させた後、たとう紙に包んで保存袋に入れるだけ。収納時の湿度がキープされ、さらに紫外線・ホコリ・害虫を寄せ付けません。

近年は地震や台風による水害が多くなっていますが、保存袋のチャックをしっかり閉めていれば、大切な着物が被害にあうリスクも減らすことができます。

また、これまで紹介した桐たんすやプラスチックケースなどの場合は定期的な虫干しが必要でしたが、保存袋に入れてしまえば不要です。交換の目安は5年程度。着物の管理がとても楽になりますね。

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着物を保管する際の注意点

着物を保管する際の注意点は以下の通り。

  • 折り方を正しく、無理に詰め込まない
  • たとう紙(文庫紙)はシミがついたら交換する
  • 乾燥剤や防虫剤は着物専用のものを1種類にする
  • 定期的に虫干しをする

一つずつ詳しく見ていきましょう。

折り方を正しく、無理に詰め込まない

たたんで保管する以上、少々の折りジワは避けられませんが、正しいたたみ方で収納すれば目立つシワは減らすことができます。

また、ケースや袋にできるだけ多く詰め込みたくなるかもしれませんが、大切な着物を長く着るためには余裕を持って収納したいところ。

重ねる枚数は2~3枚程度にするのがベストです。無理な詰め込みは生地の痛みやシワの原因となってしまいます。

たとう紙(文庫紙)はシミがついたら交換する

たとう紙(文庫紙)は着物を包む紙のことで、着物を湿気やホコリから守ってくれます。着物を重ねて収納する際にも、着物同士の摩擦を防いでくれるでしょう。

最近ではツルツルとした洋紙でできているタイプが一般的で、中身が見える小窓が付いたものもあります。一方、和紙タイプは吸湿性に優れているのが特徴です。

たとう紙は値段の高いものを購入するよりも、きちんと定期的に交換することが大切交換頻度は年に1回程度が目安です。

また、経年劣化により黄色く変色することがあるので、気付いたらすぐに交換しましょう。たとう紙のシミが着物に移ってしまうこともあるので要注意です。

乾燥剤や防虫剤は着物専用のものを1種類にする

防虫剤は必ず着物専用のものを、1種類だけ入れましょう。複数の防虫剤を一緒に使用すると化学反応が起き、変色やシミの原因となってしまいます。

防虫剤のニオイが苦手な場合は、無臭のピレスロイド系がおすすめ。シートタイプのものが市販されていて、金銀糸・金銀箔にも使用可能なので扱いやすい防虫剤です。

乾燥剤でおすすめなのは、防虫剤と併用可能なシリカゲル。天日干しすれば繰り返し使用できるタイプも販売されています。

防虫剤と乾燥剤は、収納ケースの四隅や底に、着物に直接触れないように入れましょう。

虫干しに合わせて半年に1回の交換がベストです。

定期的に虫干しをする

着物は頻繁に着ることで風を通すのが一番ですが、年に2回程度の虫干しをすることで、長持ちさせることができます。

虫干しに適した時期は、梅雨が明けた7月ごろ(土用干し)と、最も空気が乾燥する2月ごろ(寒干し)

これらの時期を逃しても、晴天が続いて乾燥している時期に行えばOKです。前日が雨だった日は湿気が多いので避けましょう。

時間帯は、気温の上がる午前10時から午後3時頃までの間。気温の低い早朝や夕方以降は湿度が高くなるため適していません。また、夕方は部屋に差し込む西日が当たらないよう気をつけましょう。

着物は着物用ハンガー等にかけて、室内に広げて陰干しします。除湿器や扇風機も活用すると良いですが、着物に直接風があたらないよう、壁などに向けて設置してください。

忙しくてなかなかできないという人は、引き出しを開けて風を通すだけでもやっておきましょう。

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どうしても着物を保管する場所がない場合は…

大切とはいえ、やはり手間も場所も必要な着物。

どうしても手元に置いておくことが難しい場合は、着物保管サービスや買取サービスを利用することも考えましょう。

着物保管サービスを利用する。相場は1枚につき年間1,000円前後

クリーニング店で洋服の保管サービスを利用したことはあるでしょうか?

実は着物も同じように、呉服屋さんや着物クリーニング店などで保管を依頼することができます。使うときだけ手元に戻すことができるので、頻繁に着物を着ない方におすすめです。

家の中に収納場所を確保する必要がありませんし、着物のプロに最適な環境で保管してもらえるのは安心ですね。

着物1枚につき年間1,000円前後が相場となっていますが、業者によってサービス内容はさまざまです。

例えば、クリーニングもお願いできるお店や、保管中に虫干しを行ってもらえるお店では、保管料月1,000円としているところもあります。

よく比較検討して預け先を選びましょう。

着物を売却する。着物買取専門業者を利用するのがおすすめ

大切な着物をそのままダメしてしまうよりは、長く大切に使ってくれる次の人へ譲り渡すのも一つの手です。

着物を手放す際は、リサイクルショップやフリマアプリよりも、着物専門の買取業者がおすすめ。着物の知識を持った店員さんが査定するので、着物の価値を正しく判断してもらえます。長くたんすに眠っていた着物が、価値ある一品だったという可能性もあるかもしれません。

買取業者には自ら店舗に持ち込むタイプや、自宅まで出張して買取してもらえるタイプなどがあるので、自分に合った買取業者を選びましょう。

もし保管に失敗してカビやシミができてしまった着物でも、すぐに捨てずに一度査定してもらいましょう。

リサイクルショップでは拒否されるようなものでも、着物専門の買取業者であれば買い取ってもらえる可能性が高いです。その場合買い取り後に修復やリメイクが施され、新たな持ち主の手に渡ることになります。

まとめ

着物の保管で重要なのは、「日光と湿気を避けること」。

ケースや置き場所に合わせて定期的な虫干しや乾燥剤などの交換をしましょう。

もし自分での管理が難しければ、保管サービスに預けたり、思い切って売ってしまい、新しく大切に敷いてくれる人を探すのも一つの手。

大切な着物を長く楽しめるように、きちんとした管理を心がけましょう。

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