色無地の着物の特徴とは。紋や生地の種類による使い分け方や、買取価格相場を紹介

留袖、振袖、訪問着、付け下げ、小紋など、着物にはたくさんの種類がありますよね。どんな場面でどの着物を着ればいいのかよく分からない、着物選びが難しいと感じる人も多いでしょう。

今回紹介する「色無地」は様々なシーンで利用できる、大変便利な着物です。合わせる帯によって時には格式高く、時にはカジュアルに、幅広い着こなしが可能です。

今回はそんな色無地とは何か、また自分の色無地を買取してもらう際の相場を紹介します。

色無地の特徴とは

色無地とは白生地を黒以外の一色で染めた、柄の無い着物のことです。

無地の分、訪問着や留袖より落ち着いた雰囲気となり、奥ゆかしさや地色の美しさ、帯や小物が際立ちます。

まずは色無地の生地や使用シーンについて見ていきましょう。

色無地に使用される生地の種類や素材

綸子

色無地の生地は大きく2種類、「地紋」があるものと無いものに分けられます。

「地紋」とは織り方や糸の使い方で織物地に織りだされた模様のことです。「家紋」と混同してしまう方もいるかもしれませんが、全く別の物を指します。色無地にはよく見ると生地自体に模様があるもの（地紋があるもの）と地紋がないものがあるのです。

地紋がある色無地は、紋の数によって礼装用からカジュアルへと幅広く利用できます。主に「紋意匠」「綸子（りんず）」「緞子（どんす）」と呼ばれる織物で出来ており、全体的に光沢があるため、上品な仕上がりです。

地紋がない色無地はちりめん生地で出来ていることが多く、ちりめん生地の種類も「一越ちりめん」「二越ちりめん」「三越ちりめん」「紬ちりめん」など様々です。ちりめん生地表面の凸凹を「しぼ」と呼びますが、生地の種類によってしぼの大きさが異なり、それぞれに素敵な風合いを醸し出しています。

しぼが高くなるほどカジュアルな雰囲気になるので、季節やシーンに合わせて使い分けるといいでしょう。

柄はありませんが美しく、品位が感じられる色無地。染め替えもできるので、年齢を重ねると共に落ち着いた色に染め替えながら長く楽しむことも可能です。

最近では、手入れの楽なポリエステル素材の色無地もあります。自宅での洗濯が可能なので、雨の日や街歩き用に持っておくのもいいでしょう。

紋の数による格の違いと使用シーン

「紋」は格を決めるとても大切なものです。

色無地は、紋の数によって第一礼装にもなれば、紋を入れずにカジュアルなおしゃれ着として着ることもでき、幅広く利用できます。

着物は格式に応じて入れる紋の数と場所が決められています。格式が高いものから五つ紋、三つ紋、一つ紋の順です。

色無地の着物に五つ紋を入れると、色留袖と同様に格の高い礼装となり、公の式典のような、格式高い場所で着用することが可能です。ただし柄が無い分留袖より見劣りしてしまいがちなので、華やかな祝いの席などでは帯に工夫をしたいですね。

三つ紋が入った色無地は、訪問着などと同様に準礼装としてセミフォーマルな場面で着用することができます。格としては紋無しの訪問着や付け下げより上の立ち位置です。

そのため親族の結婚式や格式の高いお茶会などには三つ紋がいいでしょう。

一つ紋の色無地は、友達や同僚の結婚式、子供の入学式や卒業式、気軽なお茶会といった場面で。準礼装ではありますが、三つ紋ほど格式が高くないので、合わせる帯によってはカジュアルに着ることもできます。少しだけかしこまった雰囲気がほしい、そんな時にぴったりです。

最近の傾向としては、色無地の着物に五つ紋を入れることは少なくなっており、より多くの場面で利用できるよう、一つ紋を入れることが多いです。

色や地紋の選び方

色無地は染められた色や地紋によって慶事に向くもの、弔事に向くもの、どちらでも利用できるものがあります。

弔事の際は暗めの色無地を。緑や紫、藍やグレーは慶弔両方の場面で利用できる色なので一枚持っていると便利です。地紋はない方が好ましいですが、流水や雲形、波や有職模様であれば、入っていても問題ありません。

例えば、慶事に向く吉祥文様の地紋の色無地を弔事で着用することは、着物のお作法としてマナー違反。遠目には分からない地紋ですが、ここにも守るべき作法が隠されています。正しく色無地を着るためにも、選ぶ際は地紋もよく見て選びましょう。

おめでたい日は、明るい色を選びましょう。華やかで美しい色無地はその場の雰囲気を晴れやかなものにし、お祝いの場に華を添えてくれます。地紋は「吉祥文様」が最適ですが、決まりはありません。

もし弔事でも使用できそうな落ち着いた寒色系の色無地を慶事で着用する場合は、帯を華やかで明るいものとし、全体の雰囲気がおめでたいものになっているか意識するといいですね。

気持ちに余裕があれば、季節に合った地紋を選ぶのも隠れたおしゃれです。季節を先取りするとちょっと通で粋な着こなしになります。例えば花柄なら、実際にその花が咲く1ヶ月くらい前から、開花する直前ぐらいまでの間でその花柄を着用するという風に、少し前倒しで季節感のある物を選んでいくといいでしょう。

新春は吉祥文様でおめでたい晴れの雰囲気に。春は梅や桃、桜の地紋で春らしく。夏は流水の地紋で涼しげに。秋は菊や紅葉でしっとり秋を感じ、冬は南天や松の地紋で一年を締めくくる。このような感じで、地紋を通して四季を味わうのも素敵です。地紋は着物の柄ほど季節感を重んじなくて良いので、気軽にできる範囲で楽しんでみましょう。

色無地の買取価格の相場

「色無地をもらったけどサイズが合わない」「もう着る機会がない」そのような理由で色無地の処分を検討し、着物買取業者に依頼する人も多いでしょう。

色無地に限ったことではありませんが、保存状態、有名作家の仕立てによるものか、そうでないものかで、着物の買取価格は大きく変わります。

特に色無地は柄がないだけに、シミや汚れがあると目立ってしまいます。色無地の色によってはシミが付いた時は気が付かず、そのまま時間がたって変色してしまい、後になって気付くことも。お手入れの際には十分注意しましょう。

一般的な正絹の色無地だと、未使用のものやそれほど着用されていないもので数千円が買取の相場です。

有名な作家に仕立てられたものの場合、意外な高値がつくこともあります。証明書があると高値が付きやすいので、証明書は必ず保管しておきましょう。保存状態にもよりますが、久保田一竹など有名作家のものですと数万円から数十万円の範囲で値段が付く可能性があります。

色無地は着用できる場面が多く使い勝手がいいですが、希少価値という点から見ると高値は付きにくいです。それでも利用者が多いということはそれだけ需要があるということ。相場を参考に、納得の価格で手放したいですね。

色無地の高価買取ポイント

大切にしてきた色無地、せっかくならできるだけ高く買取してほしいですよね。

高価買取へと近づけるポイントは以下の4点。

• シミや汚れがなく保存状態がいいほど価値が高い
• サイズは大きいものの方が高く売れやすい
• 証紙、落款など着物の価値を証明する付属品は必ず見せる
• 専門の買取業者に見てもらうのが何より大事

知らないと大損する可能性もあるので、買取に出す前にしっかりと確認しましょう。

シミや汚れがなく保存状態がいいほど価値が高い

シミや虫食いなどについては、表や裏に関係なく、ひとつでもあれば査定価格に影響が出ます。

フリマアプリやネットオークションでの出品だと、シミの有無で買い手がつくかどうかがかなり左右されてしまいます。

特に色無地は柄が無い分シミが目立ちやすく、少しの汚れが価格に響きやすいので要注意。常日頃のお手入れが重要です。

もう一つ気にしておきたいのがシワと匂い。査定や出品前には陰干しをして、シワや匂いを取り除いてあげるのがベストです。

サイズは大きいものの方が高く売れやすい

着物のサイズについては、大きいものの方が高価買取されます。

というのも着物は着る人に合わせて仕立て直すことが一般的なもの。

大きいものを小さくすることは割と簡単にできる上、おはしょりなどで調節も可能ですが、逆に着物が小さい場合は、縫い代部分に生地が余っていないと広げて大きくすることは難しくなってしまいます。

大きいものの方が融通が利く分買い手が付きやすいので、高価買取が期待できます。

証紙、落款など着物の価値を証明する付属品は必ず見せる

証紙や落款は高価買取のキーポイント。

証紙とは、簡単にいうと品質証明書のようなものです。着物の素材や産地、織り方、染め方などが記載され、「この着物は高級品である」と保証してくれます。

たとえば色無地のうち日本製の正絹を用いて作られているものには「日本の絹」のマークがあります。

証紙が付属している場合は、大切に保管し査定時は必ず提出しましょう。

落款とは、着物作家のロゴマークのようなものです。着物作家には独自の落款(ロゴマーク)を持っている場合があり、着物を手がけた際に「自分が仕立てたものである」と証明するために刻印します。

有名な作家であればその価値を証明することができ、類似品と見分けることもできます。落款はおくみか襟先にあることが多いです。

ただし、ない場合でも即偽物というわけではありませんし、買取してもらえないわけでもありません。保存状態によっては高価買取をねらえるので、あきらめずに買取に出してみましょう。

専門の買取業者に見てもらうのが何より大事。できれば複数の業者に見積もりを

着物を売る方法はいくつありますが、高額買取されやすいのはやはり専門の買取業者です。着物専門の査定士は、実績も豊富なので大切な着物を正しく評価してくれ、安く買いたたかれてしまう心配がありません。

買取業者に依頼したい場合、インターネットや電話での査定依頼が簡単です。査定は自宅や店頭宅配などの種類があるので、予定に合わせて選ぶこともできます。

査定価格に同意すれば、その場で買い取ってもらえるので手間もなし。もし買取価格に納得できなくても、査定自体は無料なので損になることはありません。

またできれば一社ではなく複数の業者に査定を依頼するのも、より高く買い取ってもらえるポイントになります。

色無地を高価買取してくれるおすすめ買取業者

色無地を買取査定してもらいたい場合におすすめの着物買取業者を紹介します。

バイセル

バイセルは2年連続「出張買取顧客満足度一位」の実績ある着物買取業者。

全国対応の出張買取がメインで、北海道から沖縄まで最短即日で査定をしてくれます。

出張費や査定料は当然無料で、少量の着物でも査定が可能。逆に大量に着物を売りたいときも、着物専用倉庫を持っているバイセルならば無料で引き取ってもらえます。

ただし持ち込み買取の場合、当日持ち込み可能な店舗数は、名古屋栄セントラルパーク店、横浜元町店、有楽町店、東京本社（要予約）の4店舗と少ないので要注意。

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福ちゃん

福ちゃんは600万件もの買い取り実績のある着物買取店。

出張、宅配、持ち込みの買取査定が可能です。ただし店舗数は少なめでエリアが限られているため、店舗の無い地域では出張買取か、宅配買取を選ぶようにしましょう。

また、メールやLINEを使った簡易査定もできるので、実際の査定を依頼する前に目安を知りたい、他の業者との見積もりを比較したいというときにも便利に使えます。

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まとめ

シンプルで気品のある色無地の着物。色や地紋によっては慶事にも弔事にも対応できるので、一着あればとても便利です。

帯や襟の合わせ方によってがらりと雰囲気がかわるので、コーディネートするのが楽しい着物といえます。

もし、似たような色ばかり集めてしまった、タンスにしまったままでもう使わないという色無地があれば思い切って売却し片付けをしましょう。

色無地は着用できるシーンも多く使い勝手がいいため需要が高く、状態が悪くなければ買取不可となることはありません。ただし無地であるが故、希少価値という点から見ると、高値は付きにくいのも事実です。

なるべく高く買取をしてくれる着物の買取業者に査定を依頼し、次に着物を楽しんでくれる人の元へ届けられると素敵ですね。