着物の基礎知識

和服・着物・反物・呉服の意味と違い。言葉の歴史や語源と、現代での使い方

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和服着物違い 着物の基礎知識

「和服・着物・呉服・反物」という言葉は、それぞれどのような意味があるか、皆さんはご存じでしょうか。

「和」という共通点があるため、全部同じ意味なのではと思ってしまいがちですので、間違った意味で使われてしまうこともしばしば。

会話の中で間違った使い方をして、恥ずかしい思いをしないためにも、この言葉の違いについて覚えておくとよいかもしれません。

今回は和服・着物・呉服・反物の意味や違い、特徴について紹介していきます。

和服・着物・呉服・反物がよく間違えられるのはなぜ?

振袖04

「和服・着物・呉服・反物」という言葉は、改めて考えてみるとなかなか違いがわかりにくいものです。

たしかにどの言葉も「和」に関係した言葉ですし、現に似たような意味で使う場合もあります。

しかし全部同じ意味です、と言い切ってしまうのはやはり間違い。歴史や言葉の成り立ちを探ると、微妙な言葉のニュアンスの違いが見えてきます。

さらに言葉は時代とともに意味が変わってくることもあるのが厄介なところ。

昔はこういう意味で使っていたけれど、現代では異なるというのはよくある話で、これが和服や着物の意味をさらに混同させやすくしています。

着物が日常的に着られなくなって久しいですが、せっかく日本が世界に誇る伝統的な文化なので、これを機に正しい意味を覚えてしましましょう。

和服・着物・呉服・反物の意味の違いと特徴

「和服・着物・呉服・反物」にはそれぞれの意味や使い方、違い、特徴などがあります。

中には似たような意味で使う場合もありますが、間違った言い回しをしている場合もあるので、注意が必要です。

以下では言葉の歴史も交えて、それぞれの意味を説明していきましょう。

  • 和服…着物を含めた「和装全体」。洋服の対義語として「日本の衣服」というカテゴリを指すことも。着物以外に巫女装束や袴などが含まれる
  • 着物…着用している「衣服」のこと。和服と同義として用いられることもあるが、そのうち長着単体を指すことが多い
  • 呉服「織物」特に絹織物のこと。そこから派生し今では和服と同義で用いられることもある
  • 反物…おとな物の和服一着分(一反)で仕上げられている「布地」

和服とは|語源は「洋服」との対義語

着物紋

「和服」とは、文字通り「和の服」、言い換えると日本の服のことを指します。

明治時代から着られ始めた、西洋の服のことを「洋服」と呼ぶようになり、それに対して今まで着用していた服のことを「和服」と呼ぶようになりました。

「和服」は「着物」と似たような意味で使われることも多いのですが、着物は「長着単体」のことを表すことが多いのに対し、和服は帯なども結んだ状態で、「和装全体」のことを言います。

和装には一般的な着物以外にも「甚平」「袴」「巫女装束」「十二単」などがあるので、いわば日本の衣服というカテゴリーとして使うことができるのが和服ということですね。

洋服という文化が入ってくる以前の日本の装束が「和服」ですが、巫女装束を着物とは呼ばないため、和服の中の一つに着物があると考えるといいでしょう。

着物とは|衣服を示す言葉が、洋服の登場で和服と類義語になった

半襟

昔、「着物」とは「衣服」のことで、着るもののことを指していました。

「洋服」が出始めるまでは、「あなたが着ているもの」はすべて着物と言い表すことができましたが、洋服が主流になるにつれて両者は分けて考えられるようになったのです。

そのため同じ「着ているもの」でも洋服のことを「着物」とは基本的に呼びません。

現代も「着物」という言葉はよく使われますが、「和服」と似たような意味で使われることも多くなっているのは、同じ洋服の台頭によって概念が生まれた言葉であるからかもしれないですね。

和服と分けて考えるなら、着物は「長着単体」のことを指すことが多いです。

長着には振袖や小紋、留袖、訪問着、浴衣など多くの種類があり、今では主にフォーマルなシーンやハレの日、行事の際などに着用されます。

さらに言い回しの点においても、少し意味が違ってきてしまうので注意が必要です。

例えば、「素敵なお着物ですね」と言われることはあっても「素敵な和服ですね」はあまり聞かない言い回しです。

これは「着物」という言葉がもともと相手の着ているものという部分を特に強調しているのに対し、和服は「日本の服」というジャンルを示すための言葉であるという違いから起こります。

単語自体の意味は似たような意味合いでも、文章にすると普段使わない言い回しが出てきてしまう場合もあるのです。

ただし着物は海外からも「kimono」という「日本の民族衣装全般」として認知されています。和服との意味の垣根が少なくなりつつあるので、前後の文脈から臨機応変に対応していくのが望ましいですね。

呉服とは|絹織物を示す言葉。和服の類義語として使われることも

襟合わせ

呉服というと服という字が入っていることや、着物を売っている「呉服屋さん」のイメージから、着物と同じ意味と捉えがちですが、元は衣服ではなく昔中国から伝わってきた織物とその技術のことを指していました。「呉」という国から来たので「呉服」と呼ばれています。

江戸時代には絹織物を売っている店を「呉服屋」と呼び、綿織物を売っている店を「太物屋」と呼び分けていました。のちに絹織物と綿織物、両方を売るお店ができたことから「呉服太物屋」と呼ばれるようになります。これが次第に現代に繋がる「呉服屋」となったのです。

このように一般的に織物(特に絹織物)を指していた呉服ですが、洋服の台頭により「和服を作るための反物(生地)」という意味合いが強くなり、そこからさらに「和服」とほぼ同義として扱われることも増えていきました。

そのため現代では、呉服という言葉は和服と同じような意味で使われることが多いです。

しかしもとは織物を指す言葉なので、着物と和服の違い同様、相手が着ているものに「素敵な呉服ですね」という言い回しはしないので気を付けましょう。

反物とは|着物を作るための布

反物

「和服」や「着物」、「呉服」は衣服のことを指すことができますが、「反物」は衣服ではなく、衣服になる前の状態の布で、巻物のように巻かれたもののこと。

着物一枚分の布地で、一反(長さ約12m、幅約36cm)で仕上げられています。

男性の方が体格がいいため長さが必要かと思われがちですが、女性には男性にはないおはしょりがあるため結局は約12mでだいたい同じ長さとなります。

日本人の体格も時代の流れにより大きくなっているため、反物のサイズもだんだんと大きくなってきました。

中でも幅広(はばひろ)という幅を少し広めにしたもの(約37㎝から42㎝)を用いれば、身長のある男性にも対応できるので、上背のある人や恰幅のいい人は反物のサイズをよく見て、着物を仕立てるといいですね。

このように基本的には着物一枚分の大きさである反物ですが、胴裏や裾回しなどの一反に満たないものでも、「反物」と呼びます。

まとめ

同じような意味に取られがちな和装まわりの言葉ですが、成り立ちや歴史を紐解くと、少しずつ違いが分かってきます。

  • 和服…着物を含めた「和装全体」。洋服の対義語として「日本の衣服」というカテゴリを指すことも。着物以外に巫女装束や袴などが含まれる
  • 着物…着用している「衣服」のこと。和服と同義として用いられることもあるが、そのうち長着単体を指すことが多い
  • 呉服「織物」特に絹織物のこと。そこから派生し今では和服と同義で用いられることもある
  • 反物…おとな物の和服一着分(一反)で仕上げられている「布地」

しかし言葉とは時代とともに意味や使い方が変わってくるものなので、あくまで臨機応変に使うことができるようにしておくとスマートですね。

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