「昔と体型が変わってお気に入りの着物が着られない」「大好きな着物を出したらシミができていたけれど、思い出の品だから捨てられない」そんな着物はタンスに眠っていませんか?
着なくなった古い着物も、色々なものにリメイクして、日常生活のおしゃれアイテムとして有効活用することが可能です。
今回は、着物地や帯を使ってリメイク出来る様々なグッズと、簡単な作り方などをご紹介していきます。
実は簡単!着なくなった古い着物はリメイクが可能。自分で作ったりオーダーすることも
着なくなった古い着物をリメイクするのは意外と簡単です。
もともと着物は、基本的に直線断ち、直線縫いで作られていて、糸を解くと四角い布の集合体になるので扱いやすく「リメイク向き」なのです。
着物のリメイクは以下のようなメリットがあります。
- タンスの中に眠っている着物を有効活用できる
- 思い出の着物が今よりも身近な存在になる
- 多少の傷みや、シミがあっても他の部分を使ってリメイクが可能
- 唯一無二のオリジナルのグッズが作れる
捨てるにはしのびない着物を再利用できるのは嬉しいですね。
しかしいざリメイクしたいと思っても具体的に何をしていいのかと悩む人も多いはず。着物をリメイクするには以下の2つの方法があります。
- 自分で作る
- リメイクを専門に行っているお店にオーダーする
小物入れや、髪飾り、シュシュやブローチなどの小物類や直線縫いの多いスカートは、お裁縫初心者さんでも簡単に楽しみながら作ることができます。
ワンピースやドレスなど、少し高度な縫製技術がいるものの場合、自信が無ければリメイク専門のお店にお願いするのも手です。
お店にリメイクしてもらう場合の相場は一概には言えませんが、例えば、着物をワンピースにリメイクする場合なら、シンプルなもので10,000円前後、凝ったデザインなら30,000~70,000円程かかることもあります。
留袖など格の高い着物を、使ってドレスを作る場合には、更に費用が必要です。ちなみに小物類のオーダーであれば10,000円~30,000円ほどでも可能です。
ただ、この相場にきちんとした決まりはなく、お店やデザインによっても価格は大きく変動するので、オーダーする場合には事前に費用を確認しましょう。
着なくなった着物のリメイク例と作り方
自分で着ものリメイクをしてみたい、という人のために、ここからは着物の様々なリメイク例と簡単な作り方などを紹介します。
初心者向け!型紙いらずな小物や雑貨にリメイク!
お裁縫初心者さんなら、まずは型紙いらずで作れる小物や雑貨づくりに挑戦してみましょう。意外と簡単に作れますよ。
おすすめはこちら。
- スマホケース
- タンブラー
- ブックカバー
スマホケース
お気に入りの着物地を使ってスマホケースを簡単に作る事ができます。必要な布も少しでいいので、着物を仕立てた時のあまり布なども活用できます。
- 100均などで売っているプラスチック製のスマホケース
- 端切れ(スマホケースよりも一回り大きいサイズ)
- ボンド
スマホケースより一回り大きいサイズに切った着物地をボンドで貼り付けるだけ。余った部分やカメラの部分はハサミやカッターでカットすれば出来上がりです。
タンブラー
中の紙を入れ替えると着せ替えができるクリアタイプのタンブラーに着物地を入れれば、たちまち和風のタンブラーを作ることができます。
- クリアタイプのタンブラー
- 着物地(タンブラーの中に入っている紙の大きさに合わせる)
- 接着芯
タンブラーの中に入っている紙のサイズに合わせて着物地をカットしましょう。
生地をしっかりさせるために、アイロンタイプの接着芯を貼り付けて、タンブラーにセットすれば完成です。
針も糸も使わないので、とっても簡単に作る事ができます。
ブックカバー
着物地を使ってオリジナルのブックカバーを作るのもおすすめです。しかも作り方も全く難しくありません。
縦16cm✕横25cmの文庫本サイズの両ポケットブックカバーの作り方は以下の通りです。
- 端切れ 縦18cm✕横74cm(文庫本サイズのブックカバーの場合)
ブックカバーの作り方
- 生地の表を出して、右端から10cmのところから折り返し、更に半分(5cm)に折り返す
- 左の布端を折りたたんだ右側の端に合わせ(表面が内側になる)、左から14cmの所に印をつける
- 印より左側の布を内側に折り込む(7cm幅になります)
- アイロンをかけて、上下1cm縫い代を残してミシンで縫う
- 布を表に返し角を整えたら完成
折った布は下記のような形になっているはずです。
ミシンで直線縫いするだけで簡単にオリジナルのブックカバーが作れます。ミシンが無い場合は手縫いでもOKです。
アクセサリーや髪飾りも簡単に作れる!
アクセサリーや髪飾りも簡単に作る事ができるので、トライしてみましょう。
たとえば以下のようなものが作れます。
- リボン
- シュシュ
- つまみ細工のコサージュやブローチ
- イヤリングやピアス
リボン
※イメージ
着物の端切れでリボンを作り、髪留めパーツにボンドで貼り付ければ、和服用のかわいいリボンのヘアアクセが作れます。
- 着物地(リボン本体:9cm✕13cm 2枚、リボン結び部分 縦10cm×横5cm 1枚)
- 髪留め用パーツ(コーム、バレッタ、ゴム等)
リボンの作り方
- リボン本体に使う2枚の布を中表にし、布の引き出し口を2cm程残して縫い合わせる
- 縫い合わせたリボン本体の布をひっくり返す
- リボン結びの部分も同じく中表にして縫い、ひっくり返す
- リボン本体の中心にタックを取って、リボン結びの部分で巻き付けて縫い留めれば出来上がり
後は、コームやバレッタなどにボンドを使って巻き付けたり、ゴムを通したりすれば完成です。
帯で作ればしっかりした豪華なリボンが出来上がり、小紋などの着物地で作れば、やわらかい印象のヘアアクセサリーに、また、絞りの帯揚げ等で作ると若々しいイメージのリボンが出来上がります。
小さいリボンはかわいらしく、大きなリボンは華やかになるので、色味や大きさを変えても楽しいですね
自作のヘアアクセサリーで着物姿にアクセントを加えましょう。
シュシュ
着物地で作るシュシュは洋服の可愛いアクセントにもなります。柔らかめの生地の方がクシュっとなりやすくおすすめです。
- 端切れ 13✕55cm
- ヘアゴム 20cm
シュシュの作り方
- 端切れを中表で縦半分に折り、両端5cmを残し縫う
- ひっくり返す
- 両端を縫い合わせるとリング状になるので、そこにゴムを通し、結ぶ
- 穴が開いている部分を縫いふさげば完成
ひっくり返す前は以下のような状態になっているはずです。
着物地の他に、絞りの帯揚げなどを使っても可愛らしいシュシュができます。
つまみ細工のコサージュ/ブローチ
鮮やかな小紋柄の端切れや、正絹の帯揚げ等はつまみ細工にぴったりです。コサージュやブローチにすると、着物の襟もとや帯に花を添えられます。
- 3cm✕3cmの端切れ 6枚
- 土台用の厚紙(直径1.5センチの円形/60度ごとに線を引いておく)
- ボンド
つまみ細工の作り方
- 正方形の端切れの角にボンドを付けて、三角に1回折る
- 中心をピンセットで挟みながら、もう一度半分に折る
- 輪を上にして持ち、ピンセットで中心を挟みながら下半分の布を両側で折り上げボンドで接着
- 残りの5枚の端切れも上記と同様に作業を行う
- 土台の厚紙のあらかじめ引いておいた線の上にボンドで接着する
- 出来上がった花の中心にパールを付ける
つまみ細工の折り方は以下の通り。開いてきてしまっても、台紙に張るときに形を固定できるのであまり気にしなくても大丈夫です。
つまみ細工は慣れるまで少し時間のかかる人もいます。
もし、思い出の着物を使うから失敗したくないとう場合は、まずつまみ細工用のキットで練習しておくといいでしょう。
ピアス/イヤリング
和柄のくるみボタンのイヤリングは、アンティークの着物にも洋服にも似合います。
使用する布の面積が小さいので、小さい柄の集まった小紋柄の端切れがおすすめです。
- 着物地(出来上がりのくるみボタンよりもひとまわり大き目)
- くるみボタンキット
- ミール皿
- イヤリング金具
クルミぼたんイヤリングの作り方
- くるみボタンキットに生地をセットし、ボタンを押し込む
- 余った布はボタンの裏面、内側へ押し込む
- ミール皿をボンドで接着
- イヤリング金具を付ければ完成
くるみボタンキット(100均で購入可能)さえあれば、針も糸も使わず誰でも簡単に和風イヤリングを作る事ができます。
先ほどのつまみ細工も小さく作ればイヤリングにすることが可能です。
定番!ポーチやバックは日常使いもできて便利
ポーチやバッグは普段の生活にも良く馴染みます。
ポーチ/小物入れ/巾着
着物の端切れでポーチや小物入れも手軽に作れます。
- 端切れ 20✕15cm 2枚
- 紐 90cm 1~2本
巾着の作り方
- 端切れのサイドと底の部分にそれぞれジグザグ縫いをする(ほつれ防止)
- 中表(内側が表地)になるように2枚を重ね布の上部7cm程を残して縫い合わせる
- サイドの縫い代をアイロンで開く
- 上1cmを折り、割れている縫い残した部分の縫い代をミシンで縫い止める
- 上部を更に2つ折りしてミシンで縫い、紐通しを作る
- 表に返し、紐を通し完成です
紐は1本だと片絞り、2本では両絞りにすることができます。
着物地の色に合わせた紐をチョイスするとさらにオシャレ度が増しますね。
エコバック/カバン
エコバックも簡単に作れますが、正絹の着物地は要注意。
正絹は水に弱く、すぐに縮んだりシミができてしまうので、エコバッグは安価で洗濯機でも洗えるポリエステルがおすすめです。
- 端切れ 縦50cm✕26cm(本体) 2枚
- 端切れ 縦37cm✕15cm(マチ) 2枚
エコバッグの作り方
- 本体の部分の上部を持ち手の部分を残すように縦13cm✕横17cmをカットする
- 布端にジグザグミシンをかけて、ほつれ止めをする
- 本体の布1枚とマチ2枚を中表で縫い合わせる(持ち手側1cmは残す)
- もう一枚の本体とマチも同様に中表で縫い合わせる
- 両方のマチを内側に折り返し底を縫う(底抜け防止のため2重に縫う)
- 持ち手を縫う(こちらも2重縫い)
- 持ち手側の布を内側に折り返して縫ったら完成
食材は意外と重みがあるので、心配な場合は裏地を付けて強度を補強しましょう。
まちが不要な場合は省略も可能です。
思い切って洋服にアレンジも可能
洋服は、少し難易度が上がるので、初心者さんの場合は洋服のリメイクを行っている専門のお店に持ち込んでオーダーするとよいでしょう。
もちろんお裁縫上級者さんで、自作可能なら仕立て代がかからずリーズナブルに作る事ができます。
ここではいくつかリメイク例を紹介していきます。
スカート
着物地でつくるスカートは意外なほど洋服によくマッチします。
例えば、銘仙の着物をスカートにすると、とてもクラシカルな雰囲気に仕上がります。
型紙を使用するのが難しい…という場合は、手持ちのスカートに何着かの着物の端切れをパッチワーク風に組み合わせてプラスすればおしゃれ度UPです。
鮮やかな色柄の訪問着などをスカートにリメイクすると上品なイメージに仕上がります。
ワンピース
和柄のワンピースを普段の洋服コーディネートにプラスすることで、個性を演出することができます。
浴衣で作ったワンピースは、とても涼し気な夏の装いです。
銘仙の着物地でワンピースを作れば、驚くほどキュートに仕上がり、ブーツや帽子などの洋服アイテムにもよくマッチします。
また、着物の中でも格の高い留袖でワンピースを作れば、大人っぽく上品なイメージのワンピースに。正絹であれば、高級感も更に増すので、パーティーシーンなどにも引けをとりません。
コート/ドレス
帯を衿元に使えばはゴージャスなイメージのコートに仕上がります。
手持ちのコートの衿だけを帯に換えれば、一点もののコートの出来上がりです。
元々格の高い留袖をドレスにリメイクすれば、素敵なフォーマルドレスになります。
結婚式の装いなど特別なイベントの一着としても重宝する事間違いなしです。
このように着ない着物をリメイクすれば、日常生活の身近な所で大活躍してくれるアイテムに大変身します。
ただし、正絹の着物をリメイクした場合は、自宅では洗えず、メンテナンスはクリーニングのみになるので、その事は頭に入れておきましょう。
着物リメイクのおすすめ本
着物は簡単にリメイクできるとはいえ、初めて挑戦する場合やはり手元に本があると安心ですよね。
そんな初心者さんにおすすめの着物リメイク本をいくつか紹介します。
こちらの「毎日着られる着物リメイク」では羽織ものからボトムス、ブラウスはもちろんマスクなどの小物まで様々なアイテムを作ることができます。
着物地に関する基礎知識や縫い方の説明も丁寧で、型紙も複雑なものが少ないので初心者向き。
2020年10月に発行されたばかりなので、リメイク本にありがちな「簡単なのはいいけどちょっとデザインが古めかしい」といったこともあまりありません。
さらにもう一冊。
「型紙いらずの着物リメイク」は名前の通り型紙を使用せず、簡単にできるリメイクを紹介した本。
セットアップの他、羽織ものやワードローブなどシリーズに分かれているため、自分の作りたいものをチョイスしやすいのが嬉しいですね。
ほどき方や縫い方なども丁寧に記載されているため、まさにリメイクを始めたいという人でも安心です。
さらに型紙がいらないということは、手間が省けるほかに、着物地のサイズに左右されずリメイクができるという利点もあります。
着物地の幅は意外と着物によってまちまちなので、型紙で作るリメイク品だと、布が足りず付け足さなければいけなくなったり、逆に微妙な端切れが余ってしまって勿体ないということも。しかしこの本では全身の着物生地を余すところなく使えるので、とても気持ちがいいです。
ただし、ほとんど直線縫いで仕上げるため少々無理のある作りになっている箇所もあります。
慣れてきたら自分でのアレンジも加えてみるといいでしょう。
リメイクにぴったりな古い着物、リサイクル着物の選び方
着物のリメイクにピッタリなのが「リサイクル着物」です。
リサイクル着物とは着用済みの着物の事で、洋服で言うところの「古着」にあたります。
一部分にシミや破れなどのあるリサイクル着物は安価で購入することができ、着物としては着用できなくても、シミのない部分を有効活用して、小物や洋服にリメイクする事が可能です。
また手持ちの着物であっても、どんなリメイクできるかどうかは生地の状態を見て考えなければいけません。
以下、リメイクに適したリサイクル着物の選び方を紹介します。
生地が弱っていないかどうかチェック
気に入った柄の着物が見つかったら、まずは生地の強度をチェックしましょう。
着物の着用歴が長いリサイクル着物の場合、座る、歩くなどの動作で生地がいろいろな所に接触したり、生地同士が擦れたりすることで、だんだんと生地の強度が弱くなってきます。
特にお尻の部分は生地が弱くなりやすいので、以下の点に注意して生地を選びましょう。
- ほつれが無いか
- 他の部分と比べて明らかに生地が薄くなっていないかどうか
弱っているのがお尻周辺だけで、その他の部分の生地は丈夫なままという場合は、小物などにリメイクするのがおすすめ。
洋服など大きく布を使用する場合は、お尻部分を避けては作れない場合があるので注意しましょう。
シミや汚れをチェック
着物のシミの状態もしっかりチェックしましょう。
生地のダメージと同様に、シミの部分を除いた生地で希望の物が作れる場合には、全く問題ありません。
ただ、ワンピースやドレスなどの大物を作る場合には、シミ以外の部分でパーツを取れるかどうかを必ず確認しましょう。
それでも、どうしてもシミのあるリサイクル着物でリメイクをしたいという場合は、費用がかかりますが、染め直しをすることで、シミが目立たなくなる場合もあります。
においがしないかどうかをチェック
においをチェックするのも大切なポイントです。
保存状態が悪く、湿気のある場所に保管されていた着物などは、見た目に変化はなくてもカビ臭い場合があります。
リメイク目的でリサイクル着物を購入する時には、においのあるものはNGです。また、家にある着物を使ってリメイクする場合、風通しの良い所で半日~1日程干してもにおいが取れない場合は使用を避けましょう。
サイズをチェック
洋服にリメイクする場合は、サイズのチェックも併せて必要です。
特に、ドレスやワンピースなど沢山の生地を使う場合、小さいサイズの着物だと必要な布を1つの着物から取る事が出来ない場合があります。
大物を作る場合は、生地の劣化やシミ、においのチェックの他にサイズも併せてサイズもしっかり確認しましょう。
まとめ
汚れたり、シミになったりして着なくなった着物も、他の物にリメイクすることで楽しく有効活用する事ができます。
思い出の着物も今よりももっと身近に感じる事が出来るかもしれません。この機会にタンスの中を見直してリメイク出来るものを見付けてどんどん楽しんでみて下さい。