「結婚式に着物を着ていきたいけどルールがわからない…」「親族でもないのに着物を着て行っていいの?」
せっかく着物を楽しんでいるなら、結婚式にも着ていきたいと思いますよね。
しかし近年は、親族以外で着物を着て参列する人は減ってきているため、躊躇してしまうこともあるでしょう。
そこでこの記事では、友人や同僚の結婚式に着物を着ていく場合のルールやマナー、注意点などを解説します。
不安や疑問を解消し、堂々と着物で結婚式に参列してくださいね。
友人や同僚の結婚式に着物って着てもいい?
結論から言うと親族でなくても、結婚式に着物を着て全く問題ありません。
むしろ、結婚式を華やかにしてくれると喜ばれるでしょう。
もし式のイメージにそぐわないのではと不安がある場合は、「振袖を着ていってもいいか」「○○色の訪問着でも大丈夫か」など、事前に確認を入れておくと間違いがありません。
ただしドレス同様着物にも、ハレの場にふさわしいものとそうでないものといったように、着物の種類や色柄などルールがあるので気を付ける必要があります。
ルールを守りさえすれば大丈夫。ぜひ着物を着て結婚式に参列しましょう。
【既婚・未婚別】結婚式に着ることのできる着物の種類・コーディネート例まとめ
着物を結婚式に着ていく場合、相手との関係性や、式の形式によってふさわしい着物が異なります。
まずはざっくりとした目安を表で確認しましょう。
続柄→ | 友人 | 親族 | ||||
母 | 姉妹 | |||||
シーン → |
披露宴 | 2次会 カジュアル |
披露宴 | 2次会 カジュアル |
披露宴 | 2次会 カジュアル |
既婚 | 訪問着 色無地 江戸小紋 |
訪問着 色無地 江戸小紋 付け下げ 小紋 |
黒留袖 | 訪問着 色無地 |
黒留袖 色留袖 |
訪問着 色無地 江戸小紋 付け下げ 小紋 |
未婚 | 振袖 訪問着 色無地 江戸小紋 |
振袖 訪問着 色無地 江戸小紋 付け下げ 小紋 |
ー | 振袖 色留袖 |
振袖 訪問着 色無地 江戸小紋 付け下げ 小紋 |
洋装の時同様、式の雰囲気や自身の年齢によって、どの着物を選ぶか考えなくてはいけません。
ただし着物はシーンに合わせた格がおおよそ決まっているので、一度覚えてしまえば洋装よりも楽です。
以下でそれぞれの着物について、注意点やコーディネート例を詳しく解説していきます。
振袖|10代~20代の未婚女性におすすめ
振袖 | 振袖 |
(画像引用:新家庭百科第七巻)
未婚女性の第一礼装である振袖。
格も高く華やかな振袖は、おめでたい席では大変喜ばれることでしょう。
ちなみに振袖と言っても、自分が主役の成人式の振袖とは着こなしが異なるので注意が必要です。
派手な半襟や個性的な帯結び、ファーのショールなどは華美すぎるので付けないようにしましょう。
また、花嫁の和装には本振袖が使われますので、参列者の本振袖は避け、中振袖か小振袖が無難です。あくまで主役は新郎新婦であることを忘れずに。
20代前半までなら、季節に合った花柄や明るい色味の振袖で慶事を彩りましょう。春には桜、冬には梅などの花を選ぶととても素敵ですよ。
20代後半以降は、鶴亀や松竹梅など縁起の良い吉祥文様や、柄や色の数を押さえた大人っぽい振袖がふさわしいですね。お太鼓結びやお文庫結びといったおとなしめの帯結びがおすすめです。
ちなみに振袖は挙式や披露宴にはぴったりですが、近年増えているカジュアルウェディングには、ちょっと豪華すぎて浮くかもしれないので、式の雰囲気をあらかじめリサーチしておきましょう。
訪問着|30代~幅広い年齢層で華やかに着られる定番
訪問着 | 訪問着 |
(画像引用:新家庭百科第七巻)
着物の中でも、カジュアルからフォーマルまで幅広い場面で活躍する訪問着。
肩から袖、裾にかけて、着物全体に一枚の絵のような模様があしらわれているのが特徴です。
訪問着は振袖とは異なり、未婚か既婚かを問わず着用できます。
そのため「振袖はちょっと派手かな」と思う未婚女性や、「色留袖では格が高くなりすぎるかも」と思う既婚女性は、訪問着での参列がぴったりですね。
30代までの女性なら、全体に柄ゆきのある訪問着で華やかさを演出しましょう。
40代以降の女性なら、裾を中心に柄が配置された訪問着で、落ち着いた気品を出せます。
フォーマルな挙式や披露宴では、金彩の入った訪問着や金糸銀糸を用いた袋帯を合わせることで、よりおめでたい印象となるでしょう。
江戸小紋|落ち着いた雰囲気を演出したいときに
江戸小紋(さめ) | 江戸小紋(大小あられ) |
(画像引用:新家庭百科第七巻)
江戸小紋とは、小紋の中でも小さい柄を全体にあしらった着物です。
遠目からは無地に見えるほど、小さくきめ細やかのため、通常の小紋より品よくまとめることができるので、カジュアルな外出着の他、紋を付ければ訪問着と並ぶ格となり、結婚式にも参列できます。
フォーマルな挙式や披露宴に参列する場合は、背に一つ紋を付けましょう。カジュアルウェディングや二次会からの参加なら、紋無でも参加できます。
また小紋の柄も大切な要素。
結婚式では小紋五役と呼ばれる「行儀・角通し・鮫・大小あられ・万筋」のように格調の高い柄を選びましょう。より細かい柄の方がフォーマルに向いています。
色無地|品よくまとめたいときに
色無地 | 色無地 |
(画像引用:新家庭百科第七巻)
色無地とは、黒以外の一色に染められた柄のない無地の着物。未婚既婚問わず着用でき、紋の数によって使い分けられる万能な着物です。
色無地には地紋があるものとないものがあります。基本的に地紋ありはフォーマル、地紋なしはカジュアルな場面にふさわしい装いです。結婚式には、吉祥文様の地紋があしらわれた色無地が良いでしょう。一つ紋は必須です。
色無地は柄がないため、どうしても寂しく地味に見えてしまうことがあります。そのため、帯や小物などで華やかさをプラスし、全体のバランスをとります。
むしろ帯をメインとした装いにしたいなら、色無地を選ぶと品が良い取り合わせとなるでしょう。
着物地の色はピンクや黄色など暖かい色が望ましいです。
というのも、灰などの無彩色や、青、紺などの寒色は弔事の印象を抱かせやすくなり、コーディネートが難しくなります。
帯は、金糸銀糸が入った豪華なものや、華やかな花柄のものを。礼装にふさわしい袋帯を用いて、二重太鼓でお祝いの気持ちを表しましょう。
(二重お太鼓)
もし寒色系の色無地を着用する場合は、全体的な雰囲気が慶事となっているかが重要です。帯に暖色を使用し、華やかにするといいですね。
バッグや髪飾りは、光沢のある素材で上品にまとめるのがおすすめです。
結婚式という慶事にふさわしい装いで、周りの参列者と同じくらいの華やかさを意識して着こなしましょう。
小紋・付け下げ|カジュアルウエディングや二次会に
小紋 | 付け下げ |
(画像引用:新家庭百科第七巻)
小紋とは、小さい柄が着物全体にあしらわれた着物。
また付け下げとは、絵柄がすべて上を向くように描かれている着物。訪問着と似ていますが、訪問着よりも柄は少なめで控えめな印象があり、絵柄が縫い目を超えてつながっていないという違いがあります。
小紋は完全にカジュアル着、付け下げも訪問着より格下なので、カジュアルウェディングや二次会の参加にふさわしい着物です。
カジュアルウェディングや二次会にはこれといったルールはありません。弔事をイメージさせるような装いは避け、新婦よりも華やかにならないようにすればOKです。
友人や同僚の結婚式に着物を着る、レンタルする際の疑問点Q&A
結婚式に着物を着ていこうと決めても、いざ着物や帯などを選ぶときにはさまざまな疑問点が浮かびますよね。
ここでは、そんなときのよくある疑問点にお答えします。
疑問をひとつひとつ解決して、胸を張って着物で参列してください。
Q.着てはいけない色、柄はある?
A.白地のもの、新婦・親族の衣装に被らないものを選びましょう。柄は季節感を考えたり、おめでたいものを選べば◎
洋装での参列と同様、花嫁衣装である白は必ず避けましょう。完全な白でなくても、ライトが当たると白に見えるような、クリーム色などの色味も避けるのが無難です。
黒も新婦の母親や祖母など、近しい親族が着る黒留袖と被ってしまうので、避けるべき色となっています。
また、新婦が和装をする場合、色や雰囲気が被らないように、事前に確認することをおすすめします。それに加え、新婦のお色直しのカクテルドレスなどとも色が被らないようにすると、礼を尽くした対応といえますね。
柄は年齢やシーンに合わせ、柄の面積を控えめにしたり、格調高い吉祥模様などを選ぶなど配慮が必要です。
さらに季節感を意識すると粋な着こなしとなりますね。
Q.髪型、髪飾りはどうすればいい?
A.あまり盛り立てず結い上げるのがおすすめ。飾りは大きすぎないもので、式の主役が新郎新婦であることを忘れずに
髪は基本的にきれいに結い上げたまとめ髪がおすすめです。
たとえば成人式のように、もりもりとカールさせた髪に大きな花飾りをつけるのは、目立ちすぎてしまいあまり好ましくはありません。
髪飾りの色数や色味は押さえて、大きすぎないものを使いましょう。パールなどの光沢のあるものを付けると、落ち着いた雰囲気ながらも上品な華やかさを出せます。
Q.友人代表や受付を依頼された場合の着物は何がいい?
A.せっかくなので振袖や訪問着で華やかに。ただし色や小物の選び方は慎重に
受付は、最初にゲストを迎える重要な役割。未婚なら振袖、既婚なら訪問着で結婚式に華を添えましょう。
目につきやすい立ち位置なので、特に色選びや、小物選びには細心の注意が必要。
誰が見ても明るく清潔感のある装いになるように、明るい色の着物と光沢感のあるシンプルな小物がおすすめです。
ただし受付に加えて雑務を頼まれ、動きやすさを重視した方がいいこともあります。
その場合は着慣れた洋装だと、着崩れや鼻緒ずれの心配もないので、場合によって見極めましょう。
Q.30代で振袖ってアリ?ナシ?
A.未婚であれば一応問題なし。ただし既婚者と勘違いされる場合もあるので、気になるなら袖を切ってしまうという手も
振袖は、原則として「未婚であれば何歳でも着用可」という決まりなので、30代でも着ることはできます。
ただし、振袖は若者向けのデザインであることが多いため年齢に合う振袖がなかったり、場合によっては「既婚者なのに振袖を着ている」と勘違いされる場合も無きにしも非ず。
もし気になるなら、振袖の袖を切り訪問着にするというのも一つの手です。
切った袖はハンドバッグや小物入れにして、末永く使い続けることができます。
Q.男性でも着物を着てOK?
A.男性の場合は新郎新婦に一度相談するのがおすすめ
男性の着物は女性ほど種類は多くないので、和装で参列すると新郎と被ったり新郎と間違われたりする場合があります。
まず、男性の第一礼装である黒紋付は必ず避けましょう。これは、結婚式では新郎や新郎の父が着用できる礼装です。
略礼装である色紋付は、参列者も着用できますが、新郎がお色直しで着る可能性もあります。事前に新郎が着る和装を確認し、新郎が黒紋付しか着ない場合は色紋付で参列可能です。
まとめ
着物での結婚式の参列は、ルールやマナーを守ってお祝いの気持ちを込めれば、大変喜ばれるものです。
ちょっとこわいと思っていた人も、ここで紹介した内容を踏まえれば大丈夫。
ぜひ次の結婚式には着物での参列を検討してみてくださいね。新郎新婦への気遣いを忘れずに、結婚式を彩りましょう。