木村雨山の着物とは。人間国宝に認定された優美な加賀友禅の魅力と買取相場目安

染めの着物の中でも、格式高い加賀友禅。

その第一人者として人間国宝にも認定された、作家「木村雨山」の着物にはどんな魅力が隠されているのでしょうか。

この記事では、木村雨山の手仕事の歴史や、着物の価値の秘密、さらに買取相場をまとめています。木村雨山・本人のみならず、加賀友禅、着物の素晴らしさを堪能してみましょう。

人間国宝「木村雨山」とは

（引用：石川県立美術館）

まずは木村雨山の経歴や、代表的な作品や作風を見ていきましょう。

経歴｜人間国宝に認定された加賀友禅の第一人者

木村雨山（本名・木村文二）は1891年石川県金沢市生まれ。

1905年石川県立工業補習学校自在画図案科を卒業後、当時加賀友禅染色家として名を馳せていた上村雲嶂（うんしょう）に加賀友禅を学び、同時に大西金陽（こんよう）に日本画を学びました。1923年に32歳で独立してからは、加賀友禅作家としての本格的なキャリアを歩みだします。

雨山は美しい作品を生み出すだけでなく、「評価される作品づくり」に重きを置いた人物でした。そのため、美術展には積極的に出品。1928年第9回帝展にて「リス文様壁掛け」の入選を皮切りに、1934年第15回帝展では「一越縮緬地花鳥文訪問着」で特選、1937年パリ万国博覧会では銀賞を受賞。その後も1954年には第1回日本伝統工芸展に出品し、作家として着々と地位を確固たるものにしていきました。

1955年に重要無形文化財技術保持者として友禅の部で「人間国宝」に認定された雨山。1965年には紫綬褒章を受賞し、1976年には勲三等瑞宝賞までも受賞するなど、1977年に86歳で逝去するまで、国の重要な文化を作り出した歴史的な人物として評価を受けています。

特徴と作風｜日本画の技法を取り入れた独自の加賀友禅

（引用：木村雨山作/玉蜀黍群虫図/石川県立美術館）

雨山がこれほどに評価されるのは、日本画の技法を加賀友禅に取り入れたためです。

本来は「ぼかし」が特徴的な加賀友禅ですが、そこに日本画で培った筆使いを生かしたことにより、優しさと写実性の共存が誕生しました。

図案には更紗の影響を受けているため、優しいだけでなく軽やかに流れるような作品も得意としています。見事な筆使いで描かれた柄を彩るぼかしには、片刷毛を使った技術で彩色豊かに。まるで白生地の上の花鳥風月に息吹を吹き込むかのような技法です。

代表作品｜友禅訪問着「花鳥文」「魚のむれ」や振袖などを制作

（引用：石川県立美術館）

代表作品として挙げられるのは、「花鳥文」や「魚のむれ」といった訪問着です。

1934年に制作された花鳥文は、前述の通り第15回の帝展で特選を受賞しています。

雨山の醍醐味である花鳥風月が存分に楽しめる作品で、特に色の濃淡の美しさが際立ちます。濃い色に彩られた鳥たちの力強さが目を引きますが、葉に使われた縁の部分から模様の内側になるにつれて薄くなる加賀友禅特有「外ぼかし」のグラデーションが柔らかく、鳥の雅を引き立たせます。

魚のむれは、1955年の作品で第11回日展にも出品されています。

青のみで作られた雨山としては珍しい作風で、花鳥文とはまた違った魅力があります。遊泳する魚のむれが作り出す水の流れに、海藻が揺らぎ、ゆったりと大きな動きを感じさせます。着用した時に、帯の上下で魚の向きが変わるという点も面白みがあり、緻密に計算された図案と言えるでしょう。

一方で、優美な柄が一段と映える振袖も手掛けています。

例えば「友禅赤地吉祥文振袖」は、おめでたいモチーフが全面にびっしりと描かれた華やかな作品です。しかしながら、雨山の素朴な基盤の上に成り立っているため、過度な主張を感じさせない独特のバランスを保った絵柄は、唯一無二の輝きを放っています。

木村雨山に関するQ&A

ここで、気になる木村雨山に関する疑問を解決しましょう。

Q.加賀友禅とはそもそもどんなもの？

A.江戸時代に石川県で誕生。金箔は使わずに染めの技術のみで仕上げ、豪華絢爛とはまた違った優美さが魅力。

加賀友禅とは、江戸中期の元禄の頃、宮崎友禅斎（ゆうぜんざい）が創始者だと言われています。友禅斎は石川県に生まれ、京都で扇絵師として活躍として活躍していました。元々は藍染の紺屋や、紅や茜で染める茜屋などの染物が盛んでしたが、友禅斎によって色絵・色絵紋の技法が加わったことで加賀友禅が誕生しました。

加賀友禅は、他の友禅に比べて鳥や植物といった豊かな自然を描き、とても写実的。その朗らかな優美さは、手書きの染めのみで彩られます。「糊置き」という糊を使って防染する技法を重ねて繊細な模様を描き、金箔などで「豪華絢爛」に作り込まれることはありません。また、図案起こしから染めまでの制作全てを1人の職人が行い、1年という長い年月をかけることもあるほどで、丁寧な技の妙が詰まった作品としても愛されています。

そんな加賀百万石の中で育まれた加賀友禅の魅力は、京友禅・東京友禅とはまた違ったどこか控えめなあたたかさに溢れているのです。

Q.木村雨山の作品はどこの美術館で見ることができる？

A.国立近代美術館と石川県立美術館がおすすめ。

雨山の作品が多く所蔵されている美術館は「国立近代美術館（公式サイト）」と「石川県立美術館（公式サイト）」の2館です。代表作品の花鳥文は国立近代美術館に、魚のむれは石川県立美術館に所蔵されています。

その他にも、友禅の技術で作られた屏風「楽園」や友禅訪問着「花」などは横浜の「シルク博物館」に所蔵されています。希少な作品ですので、近くに行くことがあればぜひ立ち寄って一目見てみたいですね。

Q.木村雨山の落款はどんなもの？

A.いたってシンプルなわかりやすい「雨山」。

（引用：加賀友禅振興協会）

きものの端に見られる落款ですが、その作家の手掛けた作品であることを示すため、篆書体などで様々な特徴が盛り込まれているものが一般的です。

そんな中、雨山の落款は作品を邪魔しないシンプルなものです。

六角形の枠内に縦書きで「雨山」と書かれ、現代に生きる私たちが見てもそれと読めるでしょう。特に山の部分がはっきりしているため、わかりやすい落款です。

雨山の作品か気になる着物があれば、落款をチェックしてみましょう。

【相場】「木村雨山」の着物の買取価格目安

豪華な図案や色合いになると買取価格が上がることの多い着物ですが、木村雨山はそもそも人間国宝に認定される作家であるため高値がつきやすいです。

状態が悪いものでも3万円前後となる上、シミや汚れもないものだと20万円近い価格で買取されている作品も少なくありません。ただでさえ女性の憧れである加賀友禅の作家着物となれば、それだけ需要があるということでしょう。

柄行が豪華で状態のいいものはさらに買取額がアップします。

木村雨山の着物が高価買取されるポイント

人間国宝「木村雨山」の手がけた加賀友禅。貴重なものですから、せっかくならできるだけ高く買取してほしいですよね。

高価買取へと近づけるポイントは以下の4点。

• シミや汚れがなく保存状態がいいほど価値が高い
• 証紙、落款など着物の価値を証明する付属品は必ず見せる
• 専門の買取業者に見てもらうのが何より大事

知らないと大損する可能性もあるので、買取に出す前にしっかりと確認しましょう。

シミや汚れがなく保存状態がいいほど価値が高い。

シミや虫食いは当然のことながら査定価格に影響が出ます。

ただし専門の買取業者では、シミ抜きで取れる汚れかどうかも判断してくれ、それを加味した価格をつけてくれます。よっぽどひどい状態でなければ、買取不可とはなりません。

さらに、対策をしておきたいのが着物のにおい。

長い間、たんすに入れたままだとどうしても湿気がこもり、独特なにおいが発生します。

査定日まで虫干しをして、できるだけにおいを取り除いておきましょう。

できる限り綺麗な状態で見せた方が買取価格は当然アップするので、シワやほろえばとれる程度の汚れは取り、クリーニングに出さなければとれないシミなどは、無理をして手を加えずそのまま査定に出すのがおすすめです。

証紙、落款など着物の産地や価値を証明する付属品は必ず見せる

（引用：加賀友禅振興協会）

証紙や落款は高価買取のキーポイント。

証紙とは、簡単にいうと品質証明書のようなものです。着物の素材や産地、織り方、染め方などが記載され、「この着物は高級品である」と保証してくれます。

証紙が付属している場合は、大切に保管し査定時は必ず提出しましょう。

落款とは、着物作家のロゴマークのようなものです。着物作家には独自の落款(ロゴマーク)を持っている場合があり、着物を手がけた際に「自分が仕立てたものである」と証明するために刻印します。

有名な作家であればその価値を証明することができ、類似品と見分けることもできます。落款はおくみか襟先にあることが多いです。

着物はたとえ本場で作られたものでも、作家が振興会に登録していないため、証紙がないというパターンもあります。

しかし加賀友禅に関しては例外。

加賀友禅作家になるためには、5年以上の修業で技術を身に着け、加賀友禅振興協会員2名の推薦を得て「落款」を登録しなければなりません。さらに振興協会が開催する定期検査を通過した作品にのみ証紙が発行されています。

そのため木村雨山や加賀友禅作家に関しては、必ず証紙と落款が付けられているはずです。

ただし、ない場合でも即偽物というわけではありませんし、買取してもらえないわけでもありません。保存状態によっては高価買取をねらえるので、あきらめずに買取に出してみましょう。

専門の買取業者に見てもらうのが何より大事。できれば複数の業者に見積もりを

着物を売る方法はいくつありますが、高額買取されやすいのはやはり専門の買取業者です。着物専門の査定士は、実績も豊富なので大切な着物を正しく評価してくれ、安く買いたたかれてしまう心配がありません。

特に木村雨山のような作家ものの着物は高価買取の可能性が高いため、専門の査定士にしっかりと見てもらうことが最大のポイントです。

買取業者に依頼したい場合、インターネットや電話での査定依頼が簡単です。査定は自宅や店頭宅配などの種類があるので、予定に合わせて選ぶこともできます。

査定価格に同意すれば、その場で買い取ってもらえるので手間もなし。もし買取価格に納得できなくても、査定自体は無料なので損になることはありません。

またできれば一社ではなく複数の業者に査定を依頼するのも、より高く買い取ってもらえるポイントになります。

木村雨山の着物を高価買取してくれるおすすめ買取業者

木村雨山の着物を買取査定してもらいたい場合におすすめの着物買取業者を紹介します。

バイセル｜年間問い合わせ件数27万件の実績。満足度の高い出張買取業者

バイセルは2年連続「出張買取顧客満足度一位」の実績ある着物買取業者。

全国対応の出張買取がメインで、北海道から沖縄まで最短即日で査定をしてくれます。

出張費や査定料は当然無料で、少量の着物でも査定が可能。逆に大量に着物を売りたいときも、着物専用倉庫を持っているバイセルならば無料で引き取ってもらえます。

ただし持ち込み買取の場合、当日持ち込み可能な店舗数は、名古屋栄セントラルパーク店、横浜元町店、有楽町店、東京本社（要予約）の4店舗と少ないので要注意。

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着物10（旧ヤマトク）｜創業28年。スピーディな対応の宅配買取業者

着物10は創業28年の実績ある着物買取店。

買取方法は宅配買取のみで、持ち込みや出張は対応していません。

沖縄と離島以外の全国に、無料の宅配キットを送付してくれるので、段ボールやガムテープなどを自分で用意する必要がない点は便利です。

ただし、無料キットの利用は振袖・訪問着だと1枚から、その他の着物・帯の場合は5点以上からと数量に条件があるので、それより少ないときは自分で箱や梱包材を用意し、着払いで発送しましょう。

査定から入金までは即日のため、なるべく早く宅配買取で現金化したいという人に向いています。

また買取品目に長襦袢や和装小物も含まれるため、着物一式を片付けたいという人にもおすすめです。

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ザ・ゴールド｜創業58年の老舗。全国78店舗で持ち込みが可能

ザ・ゴールドは、出張、持ち込み、宅配に対応した着物専門の買取業者。

店舗数が多いため、大手買取業者に持ち込み買取を依頼したい場合は、ザ・ゴールドがおすすめ。

買取項目が広く、他店では取り扱いが難しい簪や扇子、帯周りの装飾具などの小物も見てもらえます。

飛込で入っても対応してもらえますが、混雑具合によっては待ち時間がある場合もあるので、不安な場合は、念のため電話を一本入れておくといいでしょう。

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まとめ

加賀友禅作家・木村雨山の作品は、日本画と加賀友禅を融合させた、独自の技術と表現が魅力。

白生地の上に描かれる花鳥風月は、まるで呼吸をしているかのようです。

そんな憧れとも言える木村雨山の作品がもし眠っているならば、きちんとした専門業者で知識のある査定士に査定してもらうのがおすすめです。

せっかく価値の高いお着物ですから、だれか優美に着こなしてくれる人のもとへ届けてもらえるように、信頼のおける業者を選びましょう。