「和服好きで、和服の知識もそれなりにはある」という方の中にも、「和服や着物地、和装品の数え方や単位などを改めて聞かれると正確には答えられない」という方は意外と多いのではないでしょうか?
そこで今回は、今更人には聞けない着物の単位や着物地の基礎知識について詳しく解説していきます。
着物・和服・和装品の単位
和服または、和装品を数える単位にはどのようなものがあるのでしょうか?
- 「枚/着」…長着(単・袷)・羽織・長襦袢・浴衣
- 「腰」…袴
※現在は「枚」が一般的 - 「本」…帯・帯まわりの装飾品
- 「具」裃・狩衣
※現在は「枚」が一般的
【「枚」で数えるもの】長着(単・袷)・羽織・長襦袢・浴衣
羽織、袴、浴衣、襦袢(じゅばん)、単衣(ひとえ)、袷(あわせ)など着物として身に着けるものは「枚」で数えます。
もちろん「着」で数えても間違いではありません。しかし、多くの場合「着」は帯や和装小物なども含めた一揃いを数える時に使う場合が多いので、長着単体で数える際は「枚」を使うといいでしょう。
【「腰」で数えるもの】袴
袴(はかま)は腰の位置で紐を結び着用します。この事から、袴は古くから「腰」と数えられてきました。
しかし、現在では「枚」と数える方がむしろ一般的のようです。
日常生活ではあまり使うことの無い単位ですが、豆知識として覚えておくと良いでしょう。
【「本」で数えるもの】帯・帯まわりの装飾品
帯、帯揚げ、帯締めなどの帯まわりの装飾品は「本」で数えます。
また、仮紐や、コーリンベルト、伊達締めなどの和装小物も「本」を使います。
【「具」で数えるもの】裃・狩衣
「具」は、一揃いの用具という意味です。
江戸時代の武士の中礼服「裃(かみしも)」や、室町時代に公家の男性が身に着けていた「狩衣(かりぎぬ)」は上下ワンセットになっている事から「具」という単位で数えました。
こちらも「具」ではなく「枚」と数える事も。
ちなみに戦の時に着用する「鎧(よろい)」なども、一式そろえるものなので、「具」が使われています。
和服地に用いられる単位・用語
ここからは和服地についての単位や用語をみていきましょう。
反(たん)|織物の長さ・大きさを表す単位
「反(たん)」は着物地の長さ・大きさを表す単位です。
大人一人分の着物を作るのに必要な着物地の長さを「一反」と数え、着物になる前の着物地が巻物のような状態になっている物を「反物」と呼びます。
ただし、一反の長さにハッキリとした決まりは無く、標準的な所では幅約36~38cm、長さは約12mほど。
布の材質や時代によっても大きさ、長さは変化します。
ちなみに土地の面積を表す際にも「反」という単位が用いられますが、こちらはだいたい10アール程度と着物に用いられる「一反」とは全く別物です。
疋(ひき)|反物2反分の長さ・大きさを表す単位
疋(ひき)は、反物二反分の長さを表す単位です。
これをまとめて反物状にしてあるものを「疋物(ひきもの)」と呼びます。
一反同様、一疋の長さにハッキリとした決まりは無く、一般的に幅約36~38cm、長さは約22m前後です。
着物一着を作る時には「反物」を、同じ生地を使ってアンサンブル(着物と羽織のセット)を作る時には「疋物」を使います。
もちろん同じ色の着物地二反を使い、アンサンブルを作る事も可能です。
しかし、反物の製造工程のちょっとした違いから、着物と羽織とで色や風合いなどにわずかにブレが生じてしまう事があり、これを防ぐために、同じ条件で作られた2反分の着物地「1疋」が使われています。
広幅/並幅|反物の幅の名称
反物の幅には「並幅」と「広幅(大幅)」があります。
並幅とは、標準的な反物の幅の事で、幅の長さは約36cmです。
対して広幅とは、並幅よりも幅の広い着物地の事を言います。
幅38cm~40cmと並幅より少し大きいサイズのものを広幅と言ったりもしますが、多くの場合は、並幅の倍の約72cmの着物地のことを広幅と呼びます。
着尺地|大人の着物一着分の布地
大人一人分の着物を作るのに必要な着物地の量が「着尺地(きじゃくじ)」です。
身長160cmの女性の着物を1着作る場合、12mくらいが標準的な着尺地の長さとなります。
着尺地を使って羽織を作る事もありますが、羽織は着物と比べて丈が短いため、着尺地で羽織を作ると、着物地が余ってしまいます。
羽尺地|大人の羽織一着分の布地
羽尺地は羽織一枚分を作るのに必要な量を備えた反物です。
「着尺地で着物を作ると、着物地が余ってしまいもったいない」という事から、羽尺地が作られるようになりました。
羽尺地の長さは、昔は約7.5m、現在ものでは約9~10mあります。
ただ、羽尺地の反物は現在それほど多く流通しているものではないので、現在では種類の豊富な着尺地で羽織を作る事も多くなっているようです。
まとめ
和服や和装品、着物地の種類等について解説しました。
知らなかった着物の知識を広げたり、再確認する事で、着物への興味がまたグンと広がってくるはずです。
日本の伝統文化である和服についての豆知識を少しずつ増やして、着物ライフをどんどん楽しんでいきましょう。