家族や親戚などの遺品整理の際に見つかった「着物」の処分方法に困っていませんか。
中には、故人の思い出が沢山詰まった着物「保管スペースもないけれど、捨ててしまうのも気が引ける」などと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では「着物の遺品整理」にスポットを当てて、いくつかある着物の処分の方法をそれぞれ詳しく解説していきます。
遺品整理で「着物」や「和服」はどうするべき?6つの片付け方法
遺品整理で見つかった「着物」行き先は、いくつかあります。
- 形見として保管して残しておく
- 親戚などに形見分けをする
- 寄付をする
- リメイクして再利用する
- 遺品整理業者や着物買取業者、ネットやアプリで売却する
- ゴミや遺品供養で処分する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
形見として保管して残しておく
故人が生前よく着ていた着物などは、家族にも特別な思い入れがあるもの。大切に保管していた着物は受け継いで、残しておくのが一番です。
しかし、着物が大量に遺されている場合には、保管場所も取り管理なども大変なので、全てを残すわけにはなかなかいきません。
そのような場合は、自分の生活に邪魔にならない範囲で優先順位の高い1枚~数枚を取り分け、大切に保管し残しておくと良いでしょう。
親戚などに形見分けをする
自分だけの判断で処分してしまう前に、親戚や親しい人を呼んで、着物を見てもらい「形見分け」をする方法もあります。
この場合は、故人の四十九日の法要が済んでから行うのが一般的です。
しかし、普段着物を着ない人にとっては保管しづらく迷惑になる場合もあるので、決して無理強いせず、相手の意思にまかせる事も大切です。
寄付をする
不要になった着物でも、寄付をする事で別の場所で有効活用してもらえる事もあります。
例えば、非営利団体のNPO法人などに寄付すると、リサイクルに活用したり、着付け教室に振り分けたりして、使ってもらう事が可能です。
着付け教室などに「つて」がある場合は、直接持ち込んでも良いでしょう。
リメイクして再利用する
着物をリメイクして再利用するのも一つの方法です。
そのままの状態だと保管場所や保管方法に困りますが、バッグや、タペストリー、または洋服等にリメイクし、再利用すれば、思い出の品をいつも側に置いておく事ができます。
着物は糸をほどくと四角の布の状態に戻すことができるため、比較的容易に何にでもリメイクが可能。
自分で作るのが難しいという人は、リメイクの専門店にお願いするのもいいでしょう。
ドレスやコート、トートバッグなどに仕立て直す場合は、30,000円~50,000円程度かかりますが、傘、ポーチ、アクセサリーなどの小物やスカートなどであれば数千円~20,000円程度で制作してもらえます。
売却する
状態が良く、価値のある着物の場合は、売れる場合もあります。
もし手元から手放すつもりなら、捨てる前に売却を考えた方がいいでしょう。
ただしひと口に売却といっても方法は色々あります。
遺品整理業者に依頼する
「遺品整理業者」とは、故人の遺品整理に関わる一連の作業「分別・清掃・査定・搬出・処分」を、遺族に代行して行ってくれる業者の事です。
着物も含めて、故人の持ち物の処分をまとめて遺品整理業者にお願いすると、その中で、高価な着物は買い取ってもらえる事があります。
ただし、遺品整理業者の中には悪徳業者も存在します。トラブルを防ぐためにも「遺品整理士認定協会」が認定する「遺品鑑定士」の在籍している業者に頼みましょう。
また、遺品整理業者は「着物」のプロではない場合が多いです。
遺品を一気に処分してもらえる点はメリットですが、せっかく高値の付く着物を安く買い取られてしまうこともあるため要注意。
ネットオークションやフリマアプリを使い自分で売却する
ネットオークションやフリマアプリを使って自分で売却する方法もあります。
ただ、ネットオークションやフリマアプリの場合は、着物の知識があまり無いもの同士が取引を行う場合が多く、相場が分からず安い価格を付けてしまったり、はたまた値段が高すぎてまったく見向きもされなかったりという場合もあるので、普段着物に触れていない人にはハードルが高めです。
また、着物が大量にある場合には、ひとつひとつやり取りや交渉を行い、梱包と発送を繰り返さなかう手はならず、出品するだけでも手間と時間を使い大変な面もあります。
【おすすめ】着物専門の買取業者に依頼する
着物の売却は、着物専門の買取業者に依頼するのがおすすめです。
着物の正確な知識と長年の経験に裏打ちされた着物専門の鑑定士が、着物の価値を無料で査定してくれます。
移動手段が無かったり、依頼する着物が大量の場合には「出張買取」をお願いし、直接訪問してもらい査定をお願いしましょう。
近くに店舗が無かったり、遠方で出張が難しい場合には、箱に詰めて送るだけで査定を依頼できる「宅配買取」を利用するのもおすすめです。
処分する
目に見えて傷みが激しい着物や、汚れた着物、あるいは残された着物にそれほど愛着も無いという場合には、残念ですが処分することになるでしょう。
ゴミとして処分
不要になった着物は、自治体の廃棄方法に従って処分します。可燃ごみで捨てられるところもあれば、資源ごみに分類しているところもあるので、捨てる前に分別方法はきちんと確認しましょう。
汚れたり、破れたりしている着物は、残していても扱いに困ってしまうため処分するほかありませんが、状態の良い着物の中には、もしかしたら高額で査定してもらえるものもあるかもしれません。
面倒でなければ、処分する前に一度「着物専門の買取業者」に鑑定を依頼し買取してもらい、売れなかった物だけをゴミとして処分するという方法もおすすめです。
遺品供養してもらう
「自分にとっては不要だけれど、思い出の着物なので捨てるのも忍びない」という場合には、他の遺品と一緒に「遺品供養」してもらう方法もあります。
お寺などで、お経を唱えてもらい、その後「お焚き上げ」をしてもらう事で、故人と気持ちの面でもお別れし、冥福を祈りましょう。
遺品整理で母や祖母の着物を片付ける時の注意点
母や祖母の着物を遺品整理する場合には、どのような事に注意すればよいのでしょうか?
遺言書の有無は必ず確認
故人の遺した「遺言書」や「エンディングノート」などがある場合には、着物の処遇に対しての指示がないか、必ず確認しましょう。
遺書は人によって、家にある場合や顧問弁護士や司法書士に依頼している場合、公正証書として残している場合があります。
「妹に譲りたい」「ここの着物屋さんに持って行くように」など、着物の処分の仕方に故人の意思が遺されている場合は、なるべく希望通りの形にしてあげたいものです。
遺品は写真に撮って残しておく
遺された着物の、保管場所や保管方法に困る場合は、「写真」として残しておくのも一つのアイディアです。
遺品を写真に収めておけば、着物を譲ったり処分していたとしても、すぐに思い出して見る事ができます。
また、着物も高価な物であれば立派な「財産」。「何がどういった状態であったのか」を写真に残しておく事で後々問題を防ぐことができる場合もあるので、他の遺品の整理と合わせて行っておくといいでしょう。
着物を売却するときは、遺産相続の対象かどうか把握する
着物一着につき30万円以上の高値がついた場合は、「遺産相続の対象」になるため相続税がかかります(全ての遺品の売却額が50万円を超えない場合は、課税の対象外)(参考:国税庁よくある質問3105)。
また30万円に満たない場合でも「5万円の家庭用動産は個別計上しなければならない」という細かい基準があるので、売却額が5万円以上となりうる着物を相続した場合には、他の遺品と併せて課税の対象になるのかどうかを、税理士さんに相談するのがいいでしょう(参考:相続税法基本通達128)。
特に着物と合わせて着物の素材や産地について書かれた端切れ「証紙」が入っている場合や、着物の端に作家の印「落款」のある着物は価値が高い可能性が大きいので、注意が必要です。
ちなみに仲の良かった知人などによかれと思って高価な着物を形見分けすると、「贈与税」の対象となるケースもあるので、気を付けましょう。
迷った場合は保留もあり。ただし着物は傷みやすいので売るなら早めに
着物に思い入れがあり「あっても困るけれど今すぐに処分することもできない」と決断しかねる場合には、「あの時捨てなければ良かった」と後悔しないためにも、ひとまず保留にして良く考えるのも手です。
ただ、着物は正しく保管しないとシミや汚れができてしまいます。なるべく早く「どう処分するか」を決め、売る場合には着物の状態が良いうちに買取査定を依頼しましょう。
悪徳業者に注意!信頼できる業者を選びましょう
先程も「遺品整理業者」の所で触れましたが、現状では業者のうちのの5~6%が悪徳業者だというデータもあります。
遺品整理に乗じて、処分費用として通常の2~3倍の値段を奪い取ろうとする業者もいるので、ネットなどで口コミを調べたり、2,3社に見積もりを依頼するなどの工夫をして、信頼の置ける業者に依頼する事をおすすめします。
また、着物専門の買取業者の中にも、高い物を安く買い取ろうとしたり、着物ばかりでなく、貴金属までも安く買い叩こうとする業者もいるので、いくつかの信頼できる業者から見積もりを取り、一番査定金額の高い所に依頼しましょう。
着物売却の際のトラブルについてはこちらの記事も参考にしてください。
まとめ
着物の遺品整理は、故人の意思や、遺族の思い入れもあるので処分方法には特に細心の注意が必要です。着物の状態や保管する場合の物理的なスペースなども総合的に考えて、適切な処分方法を検討しましょう。
- 形見として保管して残しておく
- 親戚などに形見分けをする
- 寄付をする
- リメイクして再利用する
- 遺品整理業者や着物買取業者、ネットやアプリで売却する
- ゴミや遺品供養で処分する
また、業者に依頼する場合にはくれぐれも信頼のところに依頼し、後悔無く遺品整理を終えましょう。