「買取業者に着物の査定を依頼したら、買取価格が低すぎてビックリ!」みなさんはそんな経験ありませんか?
「高額で買った着物が何故こんなに安く見積もられるのかしら?」と疑問に思われる人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は着物の買取価格が二束三文になってしまう原因と、少しでも高値で売るためのポイントをあわせて解説していきます。
着物の買取は「二束三文」にしかならないって本当?
着物には様々な種類があり、中には需要が高く高値が付くものももちろんあります。
全ての着物が二束三文にしかならないというワケではないのですが、全般的にそういうイメージがあるのはどうしてなのでしょうか?
着物の買取は「素材」や「着用歴」などで価格が変動する
着物の買取価格は、素材や着用歴で決まります。
ひとくちに着物といっても、正絹(絹100%)、麻、ウール、ポリエステルなど素材は様々です。その中でも、絹の着物は「高級」とされ買取価格も高くなりますが、ウールやポリエステル等の着物は以下の理由から二束三文になってしまいます。
- 市場に多く出回っているので需要が低い
- 元々の価格が安い
また、着用歴の有無でも買取価格は変動します。
袖を通したことのある着物は当然のことながら価値が下がってしまうのです。
さらに着物を仕立ててから10年以内のものは、新品として扱われ査定も高値が付きますが、10年以上経過した着物は需要が低く、その分買取価格も格安となります。
袖を通した着物は古着の扱いなので、購入時との価格差が激しい
着物の価格は、洋服と比べるとかなり高額です。一般的な正絹(絹100%)の訪問着でも、10~15万円程します。
しかし、一度着物に袖を通してしまうと「古着」扱いになってしまうため、買取価格がグンと下がってしまい、保存状態の良い着物でも買取価格は購入時の1割か2割程になってしまいます。
加えて、現在では日本の着物離れも進み、全体的な着物の需要も低くなっている事も手伝い、購入時との価格に落差が生まれているのが現状です。
「二束三文」の安い価格しかつかない着物の特徴と理由
二束三文にしかならない着物とはどういったものなのでしょうか?
着用歴や保存期間が長い
着用歴や保存期間が長い着物は、まさに二束三文の安い価格しかつきません。長い期間着用された着物の買取価格が安い理由は以下の通りです。
- 直射日光にさらされる事で着物の柄の色あせの原因になる
- 歩いたり、座ったりという動作を繰り返す事で、生地が擦れて耐久性が弱くなる
また、保存期間の長い着物は、カビや変色、虫食いのリスクが高くなってしまうため買取価格も安くなってしまいます。
また古いものだと、柄も今どきではなく需要が低いと取られる場合もあります。
保存状態が悪い
シミやシワ、汚れやカビなどのある、保存状態の悪い着物は、買取価格も低くなってしまいます。
せっかく高価な着物であっても、虫干しや防虫剤や乾燥材のこまめな交換など、丁寧なメンテナンスを行わなければ、着物地を傷めてしまい、その結果買取価格も安くなってしまいます。
サイズが小さい
サイズが小さい着物も買取価格が安くなってしまう原因の一つです。
50年前の男女の平均身長は、男性が約166cm、女性が約155cmと小柄でした。そのため、その当時の体格に合わせて作られた着物も、ほとんどがサイズの小さい着物です。
それに比べて現在の平均身長は、男性は約172cm、女性は約160cmと大きくなっているため、サイズが小さい着物は着用する事ができません。
そのため需要の無い小さいサイズの着物は、買取価格も低くなってしまいます。
現在の平均身長から考えると、身丈(背中心から裾までの長さ)は男性は身長マイナス約25cmの150cm以上、女性の場合は身長±5cmの160cm以上くらいの着物が高値で取引されてることになります。
着物の素材がウールやポリエステルなどの正絹以外
着物の素材には、正絹(絹100%)、麻、綿、ポリエステル、ウールなど様々な種類がありますが、比較的高値で売れる正絹以外の着物は買取価格がグンと下がってしまいます。
前述しましたが、ウールやポリエステルの着物は、そもそも元値が安い事と、市場に多く出回っているため買取価格も非常に安価です。
場合によっては値段が付かなかったり、初めから買取対象外の業者もあります。
ただしポリエステルでも高級ポリエステルなどだと買取対象になったり、綿や麻も有名産地のもの、上布などの高級織物は高価買取対象なので、一概に絹のみというわけではないことも覚えておくといいでしょう。
証紙などの着物の価値を証明できるものが無い
本来あるべき証紙が無い着物も、場合によっては二束三文になってしまいます。
証紙とは、着物の品質を証明する証明書の事です。
証紙には「有名産地で作られたものである事を証明するもの」や「伝統工芸品である事を証明するもの」等、様々なものがあり、査定員はこの証紙が付いているか付いていないかで本物かどうかを判断します。
着物の知識が豊富な査定員は、証紙がなくても本物かどうかを見極める目を持っていますが、やはり証紙がないと買取価格は不安定になってしまうでしょう。
悪徳業者に不当に安い価格をつけられている
買取業者の大半は良心的な業者ですが、中には悪質業者も存在します。
以下のような業者は特に注意が必要です。
- 見積もりを依頼してもいないのに突然訪問し着物を買い取ろうとする
- 古物商許可証を持っていない
- 貴金属の買取も迫ってくる(本当の狙いは貴金属の買い叩き)
このような買取業者は、高価であることを知りながらわざと安い値段を付けてきたり、専門的な知識も無いままに全ての着物を二束三文の値段で買い取ろうとしてきます。
「二束三文」の買取を防ぐ対処法と注意点
着物が二束三文にならないための、注意すべき点や対処法をみていきましょう。
信頼のおける買取業者に査定の依頼をする
先程も説明したような悪徳業者に不当な査定をされないためにも、信頼のおける業者に査定を依頼しましょう。
ネットやCMなどでおなじみの知名度の高い買取業者や、口コミなどで評判の良い業者に依頼するのがおすすめです。
そして、取引の過程で少しでも「怪しいな」と感じたら買取を一時保留にし、時間をおいて冷静に考えてみるのも一つの方法です。
成人式や卒業・入学式など需要の高まる時期に売る
需要の高まるタイミングで着物を売る事も買取価格を上げるポイントです。
着物には、振袖や訪問着、浴衣、また単衣や袷など、様々な種類があり、それぞれ着用シーンや着用シーズンが異なります。
それぞれの着物の需要の高まるタイミングは以下の通りです。
- 振袖:成人式シーズン
- 訪問着:卒業・入学シーズン
- 浴衣:夏のお祭りや花火大会などのシーズン
- 単衣:着用シーズンの6~9月
- 袷:着用シーズンの10~5月
このように、一年の中でもニーズの高くなるイベント事や季節に合わせて、そのシーズンの少し前に着物を売ると買取価格も高くなります。
ただシーズンを待つあまり、慣れない着物の保管に失敗して着物を傷めてしまっては元も子もないので、無理のない範囲で意識するのがいいでしょう。
売る前に干してシワやにおいを取る
着物を売る前に「陰干し」を行い、シワやにおいを取っておくのも高値で査定をしてもらうポイントです。
長い間しまっておいた着物は、畳みじわがあったり、防虫剤のにおいが残っていたりして、査定時のマイナスポイントになってしまう場合があるからです。
和服用のハンガーに着物を掛け、形を整えて2~3日直射日光の当たらない風通しの良い場所で干す事でシワやにおいを取り除く事ができます。
陰干しを行っても、頑固なシワやにおいが残る場合は、決して自己流のケアは行わず、買取業者に相談しましょう。
ただし着物のケアの知識の無い素人がアイロンや、しわ取りスプレー、消臭剤などを使ってしまうと、生地を傷めたり、シミの原因になってしまうため要注意。
乾燥剤や防虫剤を使って保管する
着物の保管には、着物専用の乾燥材や防虫剤を使い、虫食いや湿気から守りましょう。
防虫剤は着物の虫食いを防いでくれる便利アイテムですが、使用の際は以下の点に注意しましょう。
- 直接着物の上には置かない
- 防虫剤は一種類だけ使用する
強力に防虫したいからと、種類の違う防虫剤を使う事で、化学反応を起こし着物にシミができてしまう事もあるので、注意が必要です。
また、乾燥材は100%シリカゲルのものを使い、一年に一度は交換しましょう。丁寧なケアを行う事で着物の品質が守られ、査定時も高値が付きやすくなります。
まとめ
二束三文になってしまう着物の中には、「もともとの価格が低い物」と「保存状態に関係するもの」がある事が分かりました。
この記事を参考に、タンスの中をチェックし、おおよその買取価格を想定し、高値が付きそうな着物には保存状態を良くするためにも、今からでも十分なケアを行いましょう。