「着物に眼鏡はNG」なんて、よく耳にしますが、果たして本当にそうなのでしょうか?普段眼鏡を使用している人にとっては特に関心がある項目なのではないでしょうか?
そこで、今回は「着物に眼鏡はNG」というウワサは本当なのかどうか、また、着物姿に「合う眼鏡」と「合わない眼鏡」について、眼鏡をファッションのアクセントとして使う場合におすすめの眼鏡など、着物と眼鏡の事について詳しく解説していきます。
女性が着物に眼鏡をかけるのはマナー違反なのか?
結論から言うと、女性が着物に眼鏡を合わせるのは決してマナー違反ではありません。
実際に、視力が悪く普段から眼鏡をかけている人の中にも着物を着ている人は大勢います。また、運転などで眼鏡が必要な人などは安全性の観点からも付けていた方が良いでしょう。
ただ、様々な理由から眼鏡を避けておいた方が良いシーンや、かける眼鏡を選んだ方が良いシーンなどもあるので、以下順番に紹介していきます。
着物に眼鏡をかけるのがNGな場合って?
着物に眼鏡がNGだとされるシーンとは、どのような所なのでしょうか?
さまざまな年代の人が集まる結婚式などのフォーマルシーンは要注意
着物に眼鏡はNGという明確なルールはありませんが、様々な年代層が列席する結婚式などのフォーマルシーンでは少し注意が必要です。
というのも年代層が高めな人の中には「着物の時は眼鏡をかけないのが正しい」と考える人もいます。特に、ファッション性に特化した主張の強い眼鏡は、フォーマルな着物と合わせるのが難しく、それを「違和感」ととらえる人が多いのも事実です。
もちろん自分の好きな眼鏡を付けるのは悪いことではありませんが、ゲストとして招かれている以上、ホストに迷惑をかける可能性のあることは避けるのが無難。
そのため結婚式などのフォーマルな場で着物に合わせる眼鏡は、極力着物姿の印象を崩さない控え目なものがおすすめです。
飲食店など接客で働く場合は、眼鏡が推奨されていないことも
職業などによっては「着物には眼鏡はNG」とされるシーンもあります。
「着物に眼鏡が不向き」とされる業種は、主に和食店や料亭、旅館等の接客業です。
その主な理由は以下の通りです。
- そもそも和服に眼鏡は合わない
- サービス中に眼鏡を落とす危険性がある
- サービス中に眼鏡を上げる動作が不衛生
着物と眼鏡の考え方は、お店によって様々ですが、店によっては、コンタクトレンズを着用するよう義務付けられる場合もあります。
また、男性の眼鏡はOKで、女性だけNGとしているところも少なくありません。
その理由も「ダメなものはだめ」と曖昧な理由しかないこともしばしば。華やかさに欠ける、と言われてしまえばなんとなく納得できそうな気もしますが、そもそも眼鏡が華やかではないと誰が決めたのか…という話にもなります。
ただし最近では医療器具である眼鏡に対して、女性と男性で差があることに疑問の声も上がっています。今すぐにとはいきませんが、安全性などの必要な場合を除き、自由に眼鏡を付けられるようになるといいですね。
成人式の振袖の前撮りなど写真を撮るときは眼鏡が反射してしまう
成人式の記念に、振袖を着て写真を撮ってもらう「前撮り」など、記念写真で眼鏡をつけている場合は外すように言われることもあります。
これはマナーや和装がどうこうということではなく、撮影時使用する照明が眼鏡に反射してしまうことがあるからです。
写真撮影の際などは、特に視力を必要とするわけではないので、アドバイスに従い眼鏡なしで撮影してもらうのも良いでしょう。
眼鏡をかけた状態で撮影を希望する場合は、その旨を伝え撮影をお願いしましょう。その際には、「照明がレンズに反射してしまうかも」というリスクは頭に入れておく事が大切です。
また、「ブルーライトカット(パソコンやスマホなどの液晶画面から出る光を和らげる)」の眼鏡のレンズには、光を反射したり吸収したりという効果があります。その影響で撮影時には、色付き眼鏡のようになってしまうことも。
撮影前に、担当のカメラマンと、「眼鏡が反射しないか」、「ブルーライトカットの眼鏡をつけているが写りが心配」など、事前に心配な点を確認しておくと良いでしょう。
着物に合う眼鏡、合わない眼鏡はどれ?
何かにつけ「着物に合わない」といわれがちな眼鏡ですが、タイプによって着物に合わせやすいもの、合わせにくいものがあります。
よく着物を着る人であれば、和装時でも不自然ではない眼鏡を選んだり、着物用の眼鏡を準備しておくのもいいでしょう。
着物に合わせやすい眼鏡
着物に合わせやすい眼鏡は、何といってもシンプルなものに限ります。
- フレームがない、フレームが細い眼鏡
- オーバル型の眼鏡
- 着物の色に合った眼鏡
フレームがない、フレームが細い眼鏡
レンズのみでフレームの無い眼鏡や、フレームが細い眼鏡などのシンプルなデザインの眼鏡は、着物の雰囲気を崩すことがなく、とてもよく合います。
セルフレームはどうしてもカジュアル目な印象を与えてしまうので、フォーマルシーンではメタルフレームの眼鏡があると便利です。
特に縁が半分しかないナイロールやアンダーリムなら、フルリムのものより顔や着物の邪魔をせずまとめられるでしょう。
オーバル型の眼鏡
オーバル型(横に長い楕円形のフレーム)の眼鏡もオーソドックスなタイプなので、着物にも無難に合わせることができ、おすすめです。
全体的な印象を柔らかくする効果もあり、着物を着るときには選ばれやすい眼鏡と言えるでしょう。
着物の色に合った眼鏡
着物の色に合わせて眼鏡をチョイスするのも上手なコーディネートのポイントです。例えば、黒地の着物には黒のフレームの眼鏡、落ち着いたブラウンの着物にはブラウン系のフレームの眼鏡を選びましょう。
「赤い着物に赤の眼鏡」というふうに、着物と同系色の色味の眼鏡を合わせれば、「少し派手かな?」と思うような色でも、統一感がありマッチします。
手持ちの眼鏡がそもそも着物に合わない場合もあるので、そのような場合には「着物用の眼鏡」として、着物と同色系の眼鏡を用意しておくと良いでしょう。
ただ、この場合もなるべく縁の細いものを選んだ方が無難です。
着物には合わせにくい眼鏡
シンプルなデザインとは反対に、個性の強い目立つ眼鏡は着物との相性もあまり良くなく、カジュアルシーンはともかくフォーマルな場では合わせるのが難しいでしょう。
- フレームが太く存在感のある眼鏡
- 角型の眼鏡
フレームが太く存在感のある眼鏡
眼鏡のフレームが太く目立ってしまう眼鏡は、ちぐはぐな印象で全体のバランスが悪くなり、フォーマルシーンの着物にはあまり合いません。
特に色の濃いもの、奇抜な色などの個性の強い眼鏡は着物の時には避けた方が無難です。
代表的なのがセルフレームの眼鏡。着物に合わせるのが難しく、縁自体に存在感がありすぎるので、薄い色を選ぶかフルリム以外にすると印象が和らぐでしょう。
カジュアルシーンであれば、帽子やブーツと合わせたモダンスタイルなどで着用している人もいるので、普段使い用にはいいかもしれませんね。
角型の眼鏡
クールな印象の四角い縁の眼鏡は、洋服にはとても良くあいます。しかし、和服に合わせた場合には少し印象がキツめになるため、あまり相性が良いとは言えません。
ただ骨格や目の形からあえて角型を選んでいるという人もいますよね。その場合はフチなしかナイロールを選ぶと角が強調されず馴染みやすいです。
着物を頻繁に着用する人などは、控え目でシンプルな「着物用の眼鏡」があると使い分けができ便利ですね。
むしろ眼鏡を主役にしたいというときにおすすめの眼鏡
フォーマルな場ではなく、「小紋で街歩き」など、自分が主役のシーンで眼鏡をかける際には自由に遊び、合わせましょう。お好みで思いっきり主張の強い眼鏡をワンポイントとして合わせても全く問題ありません。
- 色付きの眼鏡やサングラス
- 丸眼鏡
色付きの眼鏡やサングラス
日本女性の控え目な印象の着物姿と、色付きの眼鏡やサングラスは対極です。そのミスマッチ感を利用することで、逆に個性を演出することができます。
着物姿と、自分のコーディネートセンスを思いっきり主張したい場合には、チャレンジしてみましょう。
丸眼鏡
丸眼鏡はセピア色の昔の写真にも登場します。
レトロ感を演出してくれまるので、銘仙(大正時代から昭和初期に作られた斬新なデザインのアンティーク着物)などの洋風なデザインを取り入れた着物に合わせると、全体的にレトロな印象にまとまり、おすすめです。
ブーツなども一緒に合わせれば、「大正ロマン」の雰囲気が漂うコーディネートにしあがります。
まとめ
年齢が高めの人の中には、「着物に眼鏡は合わない」と考える人もいますが、着物に眼鏡を合わせても全く問題はありません。
フォーマルシーンで着用する、留袖、訪問着には、控え目なものを、おしゃれ着にはファッションのアクセントとして、と上手に使い分けて「着物に眼鏡」を楽しみましょう。