「思ってたより着物が似合わないな…」「わたし着物はあんまり似合わないし」
着物は、似合うと思っていても似合わなかったり、逆に似合わないだろうと思っていてもしっくりきたりと、洋服とはまた違った感覚ですよね。
着物は似合わないからといって諦める必要はありません。工夫次第で自分に合わせることができる、とても使い勝手の良い衣服なのです。
この記事では、着物が似合う人・似合わない人の特徴、そして似合わない場合にも対処できる方法を紹介しています。
ぜひコツをつかんで着物を楽しんでください。
和服は日本人の体型に似合うように作られている
和服とは、日本人の特徴に合わせて作られた伝統的な衣装です。
日本人は、西洋人と比べて、胴長短足・寸胴体型が一般的。
現在は、食生活や生活様式の変化によって西洋人寄りの体型も増えてきていますが、日本人は本来このような体型が多かったのです。
そんな日本人の典型である寸胴体型に合わせて、和服は直線と平面で作られています。メリハリの少ない寸胴体型は、着物のシワができにくく美しく着こなすことができるのです。
さらに胴長短足体型に合わせて、和服は上下で分かれていない構造で作られています。おかげで足が短くても目立ちません。胴が長いことで帯も安定して留めることができます。
和服は、日本人のコンプレックスをカバーし、魅力を最大限に引き出す伝統衣装なのですね。
着物や浴衣が似合う人の特徴
それでは、具体的にどんな人が着物が似合うのかを解説していきます。
自分にもあてはまるかどうか確認しながら読んでみてください。
着物が似合う女性の体型や特徴
着物のつくりや雰囲気から考えられる「着物が似合う女性」は一般的に以下のような人です。
- なで肩
- 首がすらっと細くて長い
- くびれがなく、胸とお尻が小さい
- 腰の位置が低め
- 結い上げた暗めの色の髪
一つずつ理由や、着姿のイメージを見ていきましょう。
なで肩
着物は、華奢で小柄な日本人女性によく似合う衣装です。
優しいやわらかい風合いのものが多いので、しなやかな曲線を描く「なで肩」と相性が良いのです。
加えて、なで肩であることで首が長く見え、ほっそりとした美しい雰囲気も出せます。
すとんとしたなで肩は、女性らしいはんなりとした着姿になれるでしょう。
首がすらっと細くて長い
肌の露出が少ない着物で、唯一露出している首元。
その首元をすっきりさせることは、着物を美しく着こなす大きなポイントです。
「首が細くて長い人」は、首元がすっきり整い、うなじがきれいに見えるため、とても美しい着姿になります。
その上、首元がすっきりしていると、小顔効果もあり、よりいっそう可憐な美しさを引き出します。
首元が整っていればそれだけで「着物が似合う人」とされることも。
逆に、首が短い・首が太いと、首元がつまり窮屈な印象となり、下手をするとずんぐりむっくりとした印象を与えてしまうでしょう。
また、首元を出しすぎてもだらしない印象となってしまうので、年齢やTPOに合わせたバランスに注意してください。
くびれがなく、胸とお尻が小さい
着物は直線と平面で作られている構造上、身体に凹凸が少ない方が着付けでシワができにくく、着崩れもしにくいのです。
シワが少ないことで着物の絵柄をきれいに見せることができますし、着崩れしにくいことでその美しさをキープできます。
メリハリのある体型に憧れる人も多いですが、こと着物においてはシワもできやすく、身体のラインが見えてしまうので上品に見えず欠点となりがちです。
腰の位置が低め
現在では、脚が長くてすらっとしていることが一般的な良いスタイルとされていますが、着物を着る場合は少し事情が異なります。
脚があまり長くなく、「腰の位置が低い」方が似合うとされているのです。
腰の位置が高いと、帯を締める位置も上がり、着物の柄やデザインが上下に分断されてしまう印象を与えてしまいます。
腰の位置が低いことで、帯を締める位置も下がり、着物の柄やデザインの上下のバランスがよく、美しく見えるのです。
また、腰の位置(重心の位置)が下がることで、しっかりと落ち着いた印象を与えます。
結い上げた暗めの色の髪
着物には、いわゆる「まとめ髪」や「アップスタイル」がよく似合います。
髪を結い上げ、うなじと首元をすっきりと見せることで、清潔感やさっぱりとした美しさを醸し出すことができるのです。髪をきちんとまとめれば、それだけで美しい雰囲気になれますよ。
髪を下ろした髪型だと首元や衿元が隠れて、締まりのないだらしない印象を与えてしまうので、やはり結い上げるのがおすすめ。
華やかさを足したい場合は、髪にボリュームを出したり、大きめの髪飾りを付けたりすると良いでしょう。
髪の色は、日本人生来の色である黒が最もよく似合います。
日本の伝統衣装である着物の色や柄は、黒髪を想定して作られているからです。
しかし、黒でなければ似合わないわけではないので安心してください。黒以外にも暗い茶色など黒に近い色なら、着物と合わせることは難しくありません。
金髪などの極端に明るい色や、赤や青といった奇抜な髪色だと、着物の風合いとかけ離れているので色が浮いてしまうことが多く、着物とのバランスが難しくなります。
もちろん好きな髪色で着物を楽しむことは自由で素敵なことですが、一般的に「似合う」とされる条件からはやはり外れてしまうでしょう。
着物が似合う男性の体型や特徴
一方「着物が似合う男性」は以下のような人が挙げられます。
- 背が高い太すぎず
- 痩せすぎずな普通体型
- 肩幅が広すぎず狭すぎず、適度ななで肩
- 清潔感のある髪型
一つずつ理由や、着姿のイメージを見ていきましょう。
背が高い
洋服と同様に、「背が高い人」は着物をかっこよく着こなせます。
背が高いと着物の縦のラインが強調され、すらっとした印象に。シンプルなデザインの着物ほど、背が高いことが強調されます。
かっこよく着こなせば、りりしく着慣れて見えることでしょう。
太すぎず、痩せすぎずな普通体型
男性が着物を着る場合は、ある程度お腹にお肉がある方が似合います。
痩せすぎていると、帯がウエストへ移動しゆるみやすくなるので、着崩れの原因にもなります。
また、男性の着物はシンプルなものが多いでの、痩せすぎは貧相に見えてしまい、かっこよく着こなせません。
とはいえ、お腹が出すぎているのはあまり素敵ではありませんね。
太すぎず、痩せすぎずな「中肉中背」が着物にぴったりな体型です。
肩幅が広すぎず狭すぎず、適度ななで肩
肩幅が広いと「たくましい」「男性らしい」印象を与えますが、あまり広すぎると胸元が開きやすく着崩れの原因となってしまいます。
着物がはだけたり着崩れたりしているのは、男女ともに良い印象は与えません。
適度な肩幅となで肩で、安定して着物を着こなすことが重要なポイントです。
着付けが安定していれば、ずっしりと落ち着いた印象を与え、渋くかっこよく決まるでしょう。
清潔感のある髪型
男性の場合も、首元のさっぱり感が、かっこよく着こなす大きなポイントです。
髪は短くすっきりさせ、黒か黒に近い色がよく似合います。
男性でも首元を適度に見せることで清潔感と大人の色気を醸し出すことができます。
着物が似合わない人はどんな人? 対処法はある?
次に、着物が似合わない人の特徴を紹介します。
もしあてはまっても大丈夫。
対処法も合わせて紹介するので、諦めずに試してみてください。
着物が似合わない人の体型や特徴
着物が似合いにくい人には一般的に以下のような特徴があります。
- いかり肩・肩幅が広い
- 姿勢が悪い
- 胸やお尻、お腹が大きい
- 肌が色黒、日焼けをしている
いかり肩・肩幅が広い
いかり肩や肩幅が広いと、「強そう」「ごつい」という印象を与えてしまいます。
これでは、やわらかい風合いの着物には似合いませんね。
また、いかり肩は肩の位置が上がることで相対的に首が短く見え、さらに顔も大きく見えてしまいます。
すっきりさせたい首元がつまって見えると、窮屈な印象を与えてしまうのです。
これは肩のあたりに補正をしたり、常に肩を下げ首をすらりと伸ばすように意識することで改善できます。
姿勢が悪い
着物を着こなすポイントに、姿勢も大きく関係しています。
横から見て、耳・肩・股関節が一直線上にあるのが望ましい姿勢です。
背中が丸まっている「猫背」はもちろん、頭が前へ出ている「スマホ首」や腰が反りすぎている「反り腰」、肩が内側に巻いている「巻き肩」は着物が似合いません。
せっかく着物を着るならば、良い姿勢でりりしく着こなしましょう。
胸やお尻、お腹が大きい
女性の場合は特に胸やお尻が大きいと、いわゆるメリハリ体型となり、寸胴体型には遠のきます。
また、お腹が出すぎていても、お腹だけ突出してしまうので身体に凹凸ができてしまいますね。
直線・平面の着物には、曲線や立体的な体型は馴染まないのです。
メリハリ体型や、極端に凹凸のある体型は、着物の構造上着崩れしやすくシワもできやすくなり、美しく着こなすのが少し難しくなってしまうでしょう。
ただし男女問わず、ある程度の凹凸は補正で十分カバーできるので、面倒がらずに着る前にひと手間加えましょう。
肌が色黒、日焼けをしている
着物には透明感のある生地が使われ、可憐で清楚な印象なものが多いので、色白の肌によく馴染みます。
肌の色が黒いと「活動的」「活発な」印象を与え、着物のイメージとは少し異なりバランスがよくありません。
また、日焼けで皮が向けていたり、色ムラがあると清潔感に欠け、着物には不釣り合いとなることもあるでしょう。
女性であれば、メイクをするほか、パステルカラーなどは避け、はっきりとした濃い色や、生成りの色を選ぶなど、着物の色柄である程度カバーできます。
ただし着物は同じ作り方をしても、一着一着に色の個性が出るので自分の目で確かめてみることが一番です。
着物を綺麗に着こなす方法
では着物をすっきりと着こなすにはどうしたらいいのでしょうか。
似合わない体型の人でも、ばっちり着姿を綺麗にする方法は以下の通りです。
- 補正でカバーする
- 立ち居振る舞いや姿勢に気を付ける
- 自分に似合う色や柄を選ぶ
着物が似合わない体型でも、補正でカバー可能
メリハリや凹凸のある体型でも、補正によって着物が似合う体型に近づけることができます。
タオルや補正下着を使って、できるだけ寸胴体型に近づけるのです。
例えばウエストのくびれがある人や細身の人は、腰回りにタオルを巻くといいでしょう。
特に男性はある程度恰幅がある方が映えるので、それだけで随分と違います。
女性の場合胸が大きい人は、胸の下や胸骨のあたりにタオルを当てたり、和装ブラを着用したりして、凹凸を埋めていきます。
中には少し面倒だったり、上級者向けの難しいことだと感じる人もいるかもしれません。
しかし補正には凹凸をなくすだけでなく、着崩れしにくかったり、補正で使たタオルや下着が汗を吸ってくれたりとメリットもたくさんあります。
快適に着物を着るために、ぜひやってみてくださいね。
立ち居振る舞いや姿勢を美しくすれば堂々として見える
着物を着たときの所作は、着姿の美しさを引き出すのに超重要です。
背すじを伸ばすことは基本中の基本。
頭のてっぺんを引き上げる気持ちで背すじを正しましょう。
理想的な姿勢は、横から見て頭・肩・腰が一直線上になっている姿勢です。頭が前へ出ていたり、腰が反りすぎたりしないように注意しましょう。
立っている時は常につま先を少し内側に向け、足幅は広げないようにしましょう。
他にも、腕を上げすぎない、肘は張らず脇を締める、力まず適度な脱力感…などのポイントがあります。
急に体型を変えることはできませんが、姿勢は意識すればだれでも改善できるので、ぜひやってみましょう。
黒やピンク、紫…自分に似合う色や柄を選ぶ
自分の肌や体格に合った色柄を選ぶことも大事です。
好きな色柄と似合う色柄は、異なっていることも多いので、再度見直してみましょう。
似合うものを選ぶには、実際に着物を顔の近くにあててみるのが一番良い手法です。
あてた時に、肌が白く見え、あごのラインがくっきりして、顔が前に出るような色柄の着物が似合う着物といえるでしょう。
逆に着物ばかりに目がとられてしまう色柄や、顔色が悪く見える取り合わせは避けた方が無難です。
一着だけで判断がつかないときは複数種類あててみると違いがわかります。どうしてもわからない場合は、他の人に見てもらうのもいいですね。
また、体型によっても似合う色柄というものがあります。
ふくよかな人は縦じま模様、痩せている人はバステルカラーや大きな柄、背が低い人には小さな柄の小紋などが挙げられます。
自分の肌色や体型をよく知った上で着物を選べば、いっそう素敵な着姿になるでしょう。
着物が似合う芸能人(俳優・女優)は?
最後に手本としたくなるような着物の似合う芸能人を紹介します。
着物・和服が似合う俳優、男性芸能人
着物姿が素敵な俳優、男性芸能人
松平健さん、高橋英樹さん、松方弘樹さん、西島秀俊さん、内野聖陽さん、玉木宏さん、綾野剛さん、横浜流星さん、吉沢亮さん、佐藤健さん、林遣都さん、佐々木蔵之介さん、藤木直人さん、福山雅治さん、本木雅弘さん
着物が似合う俳優さんは、大河やドラマで和服姿を披露している人が多いです。
すらりとした着姿が素敵な玉木宏さんや、どっしりとしいた重厚感のある松平健さんなど、人によって雰囲気も様々です。
歌舞伎や時代劇の役者さんはもちろんなのですが、佐藤健さんや内野聖陽さんのように殺陣のうまい俳優さんも魅力的ですね。
着物・和服が似合う女優、女性芸能人
着物姿が素敵な女優、女性芸能人
吉永小百合さん、高島礼子さん、岩下志麻さん、石田ゆり子さん、宮沢りえさん、松嶋菜々子さん、藤原紀香さん、堀北真希さん、仲間由紀恵さん、北川景子さん、石原さとみさん、綾瀬はるかさん、橋本環奈さん、蒼井優さん、浜辺美波さん
着物が似合う女優さんとしてよく名前が挙げられるのは、普段から綺麗な着物姿を見ることが多い吉永小百合さんや岩下志麻さんなどの他、美しい黒髪が特徴の女優さんが多い印象。
藤原紀香さんは美人の証ともいわれる富士額が着物でもよく映えますし、宮沢りえさんの立ち姿は誰もが一度は憧れるでしょう。
若い女優さんですと、浜辺美波さんが振袖の広告やドラマ「私たちはどうかしている」などでも着物姿を披露しています。
まとめ
着物が似合わないとひと言で言っても、その原因はひとそれぞれです。
まずは、なぜ似合わないのかを考えた上で、体型を補正したり、似合う色を探してみたりと、対策をとってみてください。
着物は難しいと考えがちですが、着付けや補正の工夫や所作や見せ方で融通のきく衣服なのです。
コツを押さえれば、必ずあなたにも美しく着物を着こなせるでしょう。