着物買取の基礎知識

【画像付き】着物の証紙と落款とは。刻印場所や意味を紹介。落款や証紙がないと偽物になるの?

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証紙落款 着物買取の基礎知識

着物には証紙と落款という付属品があります。

どちらもその着物がどんなものかを証明するものですが、証紙と落款の違いは何でしょうか?

証紙や落款の有無によって、何が変わるのでしょうか?

この記事では、着物の証紙や落款について、詳しく解説していきます。

着物の証紙とは

大島紬登録商標

(画像引用:本場奄美大島紬協同組合 青年部会

着物の証紙には、実にたくさんの情報が記載されています。

しかしながら、証紙にはさまざまなマークや専門的な用語などが並び、ぱっと見てすぐに内容を理解できるものではありません。

ここでは証紙についての理解を深め、できるだけ多くの情報を読み取れるようになりましょう。

証紙は着物の品質を示す証明書

証紙とは、ひと言でいうと「着物の品質を証明するもの」です。

各伝統工芸組合や織元組合が発行するもので、生地の素材や産地、どこのブランドに属するか、伝統工芸品かどうかといった着物の品質を記載しています。

すなわち、証紙の付いた着物とは、組合によって品質を保証されているものということですね。

特に「結城紬」や「大島紬」などの高級伝統工芸品の場合、証紙は重要です。

法律に基づいて定められた厳しい検査基準に合格した着物にのみ、その証紙を付けることができます。類似品や海外産などが出回る中、証紙があれば公的に認められた本物であることを証明できるのです。

ちなみに、証紙を使えるのは組合に入っている織元のみです。いくら基準を満たしていても組合に入っていなければ、証紙を付けることはできません。

証紙はどこにあるもの?保管はどうする?

証紙は、反物の端に貼り付けられています。

反物とはまだ着物に仕立てる前の生地で、芯に巻き付けられて呉服屋さんに並んでいることが多いですね。

仕立てあがった着物にはほとんどの場合、細長い布が付属しています。それは反物の切れ端で、証紙が貼り付けられている場所です。

証紙がある場合は、着物と一緒にたとう紙で包み、失くさないよう大切に保管しましょう。

証紙の内容と種類

証紙には主に以下のような内容が記されています。

  • 産地の登録商標
  • 織元(製造元)
  • 伝統工芸品マーク
  • 織り方(機械織り/手織り)
  • 原料名(絹100%など)
  • 染め方(泥染めなど)

産地の登録商標

大島紬登録商標
大島紬登録商標

産地証明(奄美)
奄美産地

産地証明(鹿児島)
鹿児島産地

(画像引用:本場奄美大島紬協同組合 青年部会

着物の生地がどこで作られたかが記載されています。

産地ごとの基準をクリアした生地には、産地の登録商標として証紙を付けることができるのです。

同じ種類の着物でも産地によって作り方が異なる場合もあるので、産地はしっかりと確認しましょう。

たとえば、大島紬。奄美大島で作られたものには「地球印」、鹿児島県本土で作られたものには「旗印」、宮崎県で作られたものには「鶴印」といったように、産地によってマークが異なります。

織物(製造元)

西陣織マーク

(画像引用:西陣織工業組合

織元名が記載され、その産地のどこの織元で作られたかがわかります。

織元によっては、織元の特徴を表すマークが付いていることもあるので、お気に入りの織元のマークを覚えておくのも良いでしょう。

伝統工芸品マーク

伝統工芸品マーク

(画像引用:経済産業省ホームページ

上に「伝」の文字、下に「日の丸」が描かれているものが伝統工芸品マークです。

伝統工芸品とは“伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号、通称「伝産法」)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品“のこと。

着物に使用される織物や染色品は、2019年時点で51品目(織物38品目、染色品13品目)が登録されています。

織り方(機械織/手織り)

機織り

機械織りか手織りかが記載されています。機械織りと手織りでは風合いに違いがありますが、素人目では区別できないこともありますよね。

そのような場合、証紙の記載を見ればどちらの織り方なのか確定できます。

原料名(絹100%など)

日本の絹

(画像引用:ジャパンンシルクセンター

着物の生地に使われている原料名が記載されています。

特に絹は、絹100%なのか国産なのかといった情報がとても重要です。今ではとても希少となった純国産の絹には「日本の絹」マークが付けられています。

「日の丸」の中に「白生地」が描かれているものが「日本の絹」マークです。絹織物のうち、“国産の繭から繰糸した生糸等を用いて国内で製織、染織、加工及び縫製された純国産絹製品である“ことを示しています。

染め方(泥染め、草木染めなど)

泥染め

草木染め

(画像引用:本場奄美大島紬協同組合 青年部会

先染めの着物の場合は、染め方が記載されています。

染め方には泥染めや藍染、草木染など種類があり、どの技法が使われたかが証紙からわかります。

 

着物の落款(らっかん)とは

落款

証紙と並んでよく聞く「落款」というもの。証紙の理解をしたところで、次は落款について解説します。

両者の違いをきちんと理解できるようになりますよ。

落款は着物の作家の印

落款とは落成款識の略で、「作家が仕立てたもの」であることを示しています。

着物だけではなく、絵画や書道作品といた芸術品にも落款は使われています。多くの人が、絵画の端にハンコのようなものを見たことがあるでしょう。

作家ごとにオリジナルの落款を持っているので、どこの誰が仕立てた着物かを、落款から読み取ることができます。作家の名札のようなものですね。

たとえば、同じ西陣織の着物でもどの作家が仕立てたかによって、落款は異なるのです。

落款はおくみか衿先など見えないところに刻印され、同じ作家の作品ならどの作品にも基本的には全く同じ落款が付いています。

ただし、同じ作家名でも落款が異なることがあります。

それは作家名を踏襲した場合です。とはいえ、全く違う落款になるのではなく、似たような落款であることが多いので、ニセモノだと間違わないように注意しましょう。

似たような落款を見つけた際には、ニセモノと疑う前に踏襲された作家名かどうかも確認した方がよいですね。

落款検索をすると作家がわかるものも

加賀友禅落款

(画像引用:加賀友禅落款検索

初めて見た落款ならば、どこの誰の作品かはわかりませんよね。数回見たことがあっても、すぐに誰の落款かわかる人は少ないと思います。

着物についている落款が誰のものかわからない場合は、自分で調べる方法もあります。

加賀友禅などのウェブサイトでは、落款と作家を照合できるのです。

作家名の五十音順リストから落款を探したり、正方形や長方形といった落款の形から絞り込んだりして、着物の落款がどの作家なのか自分で確かめることができますよ。

人間国宝作家や有名な作家の落款ならば、インターネットでもすぐに見つけることができるでしょう。

自分で確かめられない場合は、査定士など専門家に見てもらうのが手っ取り早いです。

証紙や落款がないと偽物ってこと?

ここで、「証紙や落款がない着物には価値がないということ?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

証紙や落款がない場合の価値はどうなるのか解説します。

証明がない=偽物というわけではない

確かに、証紙や落款がある場合は本物であるということを証明できます。しかしだからといって、無い場合は即ニセモノという訳ではありません。

たとえば、組合に入っていない作家のケース。

証紙は組合が発行するもので、組合員でないと使うことはできないのです。どんなに正当な伝統技術で作られていて、本物と同じ品質であっても、非組合員はその証紙を付けることはできません。

他にも、あえて証紙や落款をつけないケースもあります。

証紙や落款が付くことによって、着物の値段も上乗せされます。作家さんによっては、「多くの人に着てもらいたい」という想いから、あえて証紙や落款を付けないこともあるのです。

なくしてしまうと本物でも価値が下がってしまう

高級な着物を買う場合、やはり本物であるという証明があった方が安心して買えますよね。

着物を買取に出す場合も同様で、証明があるということは大きな信頼材料です。査定項目にも証紙の有無があり、査定価格に影響を及ぼします。

せっかく本物をお持ちの場合や譲り受けた場合は、正当に評価されたいもの。ぜひもう一度、証紙や落款がないか探してみてください。

落款や証紙のある着物は高価買取の可能性アップ

落款や証紙は着物の価値を証明するもの。

そのため自分で購入する時に参考になるのはもちろんのこと、買った着物を手放すときにも大切です。

まちのリサイクルショップやネットのフリマアプリでは、買い手に専門的な知識が無いため、落款や証紙があっても正当な価格で売ることができない場合がありますが、着物専門の買取業者であれば、必ず落款や証紙の有無を確認し、価値を正しく判断してくれます

査定に出す際はプラスポイントになるので、しっかりとアピールしましょう。

まとめ:証紙や落款はとても大切なもの。なくしたり消さないように大切に保管しましょう

証紙や落款は着物の価値を証明するとても大切なもの。

ないからといって、すべてが偽物というわけではありませんが、本物であることの証明がしづらくなることは確かです。

大切な着物の価値を不当に下げないためにも、証紙や落款は大切に保管・確認しておきましょう。

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