「着物で出かけたいのに外は雨、どうしよう…」そんな時に便利なのが「雨コート」です。
着物初心者さんの中には「雨コート」という言葉自体を「初めて聞いた」、という人もいるかもしれません。
そこで今回は、大切な着物を雨から守ってくれる便利アイテム、「雨コート」のあれこれについて、詳しく紹介していきます。
着物用の「雨コート」とは?
着物用の「雨コート」とは、簡単に言うと「着物用のレインコート」の事です。着物の上からこの「雨コート」を着る事で、大切な着物を雨から守ってくれる優れモノ。
素材には水に強いポリエステルが使われている事が多く、更に表面には撥水加工が施されています。
着物用に作られたものなので、着物姿全体のイメージも崩す事なく自然に調和し、生地表面もビニールのようにツルツル、テカテカしているわけではないので、雨天時でなくてもちょっとした塵除けとして使えます。
様々な種類の雨コートが販売されていて、価格帯も3,000~30,000円と豊富です。
雨コートの種類と選び方
雨コートには、「ワンピースタイプ」や「二部式」などいくつか種類があります。
全てを揃えるのではなく、これから紹介する中のどれか一つを持っていれば十分です。以下、それぞれのタイプごとの特徴や着用シーンをみていきましょう。
ワンピースタイプ|すでに雨が降っているとき
「出かける時に、すでに雨が降っている」という時には、ワンピースタイプの雨コートが重宝します。
一枚で着物全体を裾まで覆ってくれ、外出先でも簡単に脱ぎ着する事ができます。
ワンピースタイプの雨コートを選ぶ時には「裾の長さ」に注意しましょう。
雨コートの丈が短すぎると、一番汚れやすい足元の汚れを防ぐ事ができませんし、反対に長すぎれば引きずってしまうことになります。
購入の際には、丈が自分のサイズに合っているかどうかをしっかりチェックしましょう。
二部式|途中で降り出しそう、やみそうなとき
二部式は、その名の通り上下が二つに分かれているタイプの雨コートです。
上と下別々に着なければいけないので、少し手間がかかります。
しかし、「今は雨が降っていないけれど、途中で降り出しそう」という時には、上だけ羽織感覚で着て出かけ、雨が本格的に降り出したら下も着ける等、別々に着られるというメリットもあります。
反対に、「上下着て出かけ、雨が止んだら下だけ外す」という使い方も可能です。
衿の形は道行タイプと道中着タイプの2種類
雨コートの衿の形は、道行タイプと道中着タイプの2種類があります。道行タイプの雨コートが、胸元が四角くカットされているのに対して、道中着タイプの雨コートは、着物と同じ衿合わせの形になっています。
しいて格付けをするなら道行タイプがフォーマル向きですが、模様が無地のものなら道中着タイプもほぼ同格で、あとは好みの問題です。
ちなみに小紋柄の雨コートは、カジュアル向きになるので、一枚だけ購入するという場合には無地のものを選び、フォーマルシーンからカジュアルシーンまで幅広く使う事をおすすめします。
雨コートの着方
それでは、実際に雨コートはどのように着用すれば良いのでしょうか?
基本的な着方
雨コートの基本的な着方は以下の通りです。
- 1)雨コートを羽織る前に念のため着物の裾をたくし上げる
- 2)たくし上げた裾を、クリップ等で帯に止めるか、紐で固定する
- 3)雨コートを羽織る
そもそも雨コートを着れば、着物の裾の汚れを防ぐ事が出来ますが、念のため着物の裾を上にたくし上げておけば、更に着物へのダメージを防ぐ事ができます。
表面は雨コートで覆われているので、中の着物の状態も見える事はありません。ただし、薄い生地や薄い色の雨コートの場合、たくし上げた着物の状態が透けて見えてしまう事もあるので、注意しましょう。
外出先での着方
外出先でも基本的には着方は同じ。
ただし裾をまくる姿は、あまり見栄えがいいものではないので、周りの目に触れないように、雨コートを羽織ってから着物の裾の処理を行うのがマナーです。
ちなみに雨コートを脱ぐ際も、外出先では裾を汚さないような場所でクリップや紐をほどき、裾を下ろしてから脱いだ方がいいですね。
雨コートを着るときに用意しておくと便利なグッズ
雨コートを着る時に、あると便利なグッズは以下の通りです。
腰紐やクリップ、ウエストベルトなど
雨コートの下の着物の裾周りを処理するのに、腰ひもやクリップ、ウエストベルト等があると便利です。
先程も「着方」の所で説明したように、雨コートの中でたくし上げた着物の裾を、このクリップを使って帯に留めたり、紐やウエストベルトなどで裾を固定するのに役立ちます。
着付けの時に使う「きものクリップ」が、生地に変なシワや跡を残しにくいためおすすめです。だいたい500円~1,000円程度で手に入ります。
スナップ
せっかく雨コートを着ても、袖の振り(袖の後ろ側)の部分からは、着物や襦袢がどうしても覗いてしまいます。そこで、雨コートの振りの部分にいくつかスナップを付けて置き、着用時に止めておくと「振り」からの雨の侵入を防ぐことができます。
着物は袖口のにも少し空間があるので、雨の侵入が気になる場合には、その部分にもスナップを付けておけば更に安心です。
大きめのスカーフやハンカチ
雨コートを着た場合でも、衿元からは少し着物が出てしまいます。雨から着物の衿元を守るために、大きめのスカーフやハンカチを衿元に巻きつけておくと、雨の侵入をブロックする事ができます。
衿元全体をスカーフでカバーし、余分な部分は雨コートの中に入れ込んでしまえば、首元もスッキリし、スカーフも動く心配が無いので、雨の侵入をしっかり防ぐことが可能。
その際に使用するスカーフやハンカチに、撥水効果の高い物を使うとスカーフやハンカチの中まで水分が染み込む事も無く着物も安全です。
風呂敷やてぬぐいなどでももちろんOKです。
ビニール袋
また、雨コートを使う場合はビニール袋も一緒に持参しましょう。雨に濡れた雨コートや、水分を拭き取った後のタオルなどを入れるのに役立ちます。
まとめ
雨コートは、水分の苦手な着物を雨から守ってくれるとても大切なアイテムです。
着物の他にサイズの合った雨コートを一枚でも持っていれば、雨の日のお出かけも安心。雨コートを上手に活用して、天候を気にせず着物をどんどん楽しんで下さい。