「振袖」といえば成人式や卒業式、結婚披露宴など、若い女性の華やかなシーンが浮かびますよね。振袖は基本的に未婚の女性が着るものとされています。
では、どうして結婚すると振袖を着ることはできないのでしょうか。
本記事では、結婚後に振袖を着てはいけない理由や、結婚後の振袖はどうすればいいのかについて紹介します。
なぜ結婚後に振袖を着てはいけないのか、理由と例外パターン
振袖とは未婚女性が着用する着物の中では最も格調高い礼装です。そのため主に成人式や結婚式の披露宴など、ハレの日に着用します。
袖丈によって大振袖、中振袖、小振袖と3つの種類があり、成人式や結婚式に招待されたときに着るのは「中振袖」が一般的です。
振袖の鮮やかな色にはそれぞれに意味があり、また豪華で煌びやかなその美しい柄にも「円満」や「繁栄」といった幸福を願う思いが込められています。
成人式などで着用したものを、そのまま眠らせてしまうのはもったいないので、できるだけたくさん着てあげたいものですが、振袖は「未婚の」女性が着るものと決まりがあります。
まずはその理由を見ていきましょう。
【理由】振袖には男性に気持ちを伝える役割があったことが由来
振袖といえば長い袂(たもと)が印象的ですが、この袂にはかつて大きな役割があったのをご存知でしょうか。
その昔、男性の求愛に対して、未婚の女性が直接的に言葉で返すのは品がないとされており、そのため、女性は奥ゆかしく振袖の袂を振ることで、自身の愛情を表現しました。求愛する男性に女性が袂を振れば両想いであるという具合です。
一説によると、袂を前後に振れば「ごめんなさい」、左右に振れば「私も好きです」と振り方で意味が違ったとされています。
恋愛における「振る」「振られる」という言葉は、実は振袖を振るこの行為に由来するのです。
振袖を通じて愛情表現がなされるにつれ、既婚女性は誤解を招かないために結婚後は着物の袂を短くするようになりました。
このように袂を短くした着物全般を当時は「留袖」と呼び、その後、紋が入れられ既婚女性の式服として着用されるものを指すようになります。
今では既婚女性が着る着物の中で最も格式の高い礼装となっていますね。
こうした経緯から現代でもなお、振袖は未婚女性が着るものとして定着しているのです。
【例外】既婚者でも成人式、卒業式に振袖を着るケースはあるがTPOはわきまえて
振袖は華やかで若々しく、卒業式や成人式などの人生の節目にぴったりです。門出をお祝いする場面に着物は花を添えてくれます。
美しい振袖を一回でも多く着たい、そう思う方が増えているのか、例外パターンとして既婚者であっても10代~20代前半の人であれば、成人式、大学の卒業式に着たり、新郎新婦に頼まれて結婚式で着用することも増えてきました。
周囲が同年代である成人式や卒業式であれば、うるさく言われることも少ないですが、結婚式に着ていく際には注意が必要。
今は結婚式のあり方も多様化しており、ルールにこだわらないという方も多いのも事実です。
しかし「振袖は未婚女性が着るものである」ということは広く世間に知れ渡っているため、特に幅広い年齢層の方が参加する集まりでは、既婚女性の振袖姿に違和感を覚える人もいる、という点に気を付けなければなりません。
招待してくれた人に迷惑をかけないためにも、また作法をわきまえていないと誤解を受けないためにも、既婚者が自分から振袖を着ることはできれば控えた方がいいでしょう。
和装を頼まれた場合には、訪問着や江戸小紋など、既婚者が着ても問題ない着物を用意するのがベストです。
日本の伝統である振袖を、その成り立ちと昔からのしきたりを重んじながら着用する、これも今の時代、また素敵なことではないでしょうか。
結婚後の振袖はどうすればいい?
基本的に「未婚の女性が着るもの」である振袖。それでは結婚後はその振袖はどうすればいいのでしょうか。
ここでは振袖の活用方法やリサイクル方法を紹介します。
袖を切って訪問着に仕立て直す(リメイク)
近頃は洋服のリメイクをする人もたくさんいますよね。実は振袖も袖を切ることで訪問着にリメイクすることができるのです。
訪問着は、フォーマルな場面からカジュアルな場面まで幅広く着用できる着物です。
親戚や友人の結婚式、お宮参りや七五三、入学式や卒業式といったお祝い事はもちろん、コンサートや観劇、同窓会など格式張らないお出かけにも着用できます。
ただし振袖の柄や色によっては、仕立て直しても元々が振袖であると明らかに分かってしまい、訪問着にすることが難しい場合もあります。
特に最近の成人式用の振袖は総柄で華やかなものが多く、訪問着にするには華美すぎたり、柄行きが不自然になってしまうことが多いので注意が必要です。
中には後々に訪問着に仕立て直すことを前提として、袖を切りやすい柄や華やかでも着物全体の色味が抑えられたものなど、仕立て直しても違和感がない振袖を選んでおく、という人もいます。
袖丈直しの相場は、長襦袢とセットでだいたい10,000円~20,000円程度。
袖部分を仕立て直して柄を調整することは可能なので、まずは自分の持っている振袖の柄を確認し、年齢相応な装いになるかを考えてみましょう。
綺麗に保管して子供のために取っておく
振袖はその年に人気のあった色やデザインの影響を多少受けることはあるものの、洋服ほど流行に左右されません。
また、伝統的な古典柄は時代を超えて愛されているため、大切に保管すれば代々受け継いで着ることが可能です。
近年の成人式でも、母親が着用した振袖を数十年ぶりに娘が着て式に参加する、という微笑ましい様子をよく見かけます。
着物を保管する際は「通気性が良く、湿気の少ないところで、直射日光を避けて保管する」これが大切です。
着物は湿気があるとカビが発生し、着物が早く傷んでしまいます。
湿度を調整する桐箪笥は着物の保管に最適であると言われていますが、桐箪笥がない場合は、衣類用プラスチックケースで保管することもできます。
この場合、必ず除湿シートを入れておきましょう。定期的にケース内の空気を入れ替え、湿気を逃すことも忘れずに。
また日光も大敵です。直射日光でなくても、光が差し込む部屋に置いておくだけで着物は変色してしまいます。必ずカバーをかけて色褪せや変色を防ぎましょう。
買取業者やリサイクルショップ、オークションやフリマアプリで売る
いらなくなった振袖は、着物買取業者やリサイクルショップで売ることも可能です。また、オークションやフリマアプリなどを利用する人も。
中でもおすすめは着物買取の専門業者に依頼すること。
着物買取業者では着物の知識が豊富な専門家が、着物の値段をきちんと査定して買い取ってくれます。思い出の詰まった大切な振袖ですから、適切な価格で買い取ってもらえる方がいいですよね。
査定の方法は、自宅での査定や宅配で送付して査定してもらう等、自分の好きな方法が選択可能です。
着物の買取額は着物の格の高さも影響するので、未婚女性の礼装である振袖は高めに査定してもらえます。中でも老舗呉服店や有名作家の仕立てによるものは高値がつきやすいため、品質を保証する証紙を揃えておきましょう。
また、着物のサイズも重要なポイント。サイズの大きい振袖は仕立て直しができる分、小さいサイズのものに比べると高価買取になりやすいです。
ただしどんな着物も、できるだけ高値で買い取ってもらうためには「保存状態が良い」ことが大切です。特に振袖はおめでたい日に着るものなので、シミや汚れが付いていては折角の晴れの日が台無しになります。
「レンタル振袖」など、最近は振袖のリサイクル市場でのニーズも高まっているので、着物買取業者もたくさんあります。
査定は無料の場合が多いので、複数の業者に査定してもらいより高値が付くところを探すのも良いですね。以下で振袖を売る場合のおすすめ買取業者を紹介します。
おすすめ買取業者|バイセル
バイセルの基本情報 | |
キャン ペーン |
最大現金10万円 プレゼント ※5,000円以上の買取 (抽選5名/宅配は対象外) |
買取方法/ エリア |
出張買取:全国 持込買取:13か所 宅配買取:全国 (一部離島除く) |
申込方法 | インターネット 電話 |
受付時間 | 24時間365日 (訪問は9時~17時) |
買取額の 支払い |
出張買取:その場現金 持込買取:その場現金 宅配買取:約2営業日以内銀行振込 |
公式サイト | 公式サイト |
バイセルは2年連続「出張買取顧客満足度一位」の実績ある着物買取業者。
全国対応の出張買取がメインで、北海道から沖縄まで最短即日で査定をしてくれます。
出張費や査定料は当然無料で、少量の着物でも査定が可能。逆に大量に着物を売りたいときも、着物専用倉庫を持っているバイセルならば無料で引き取ってもらえます。
ただし持ち込み買取の場合、当日持ち込み可能な店舗数は、名古屋栄セントラルパーク店、横浜元町店、有楽町店、東京本社(要予約)の4店舗と少ないので要注意。
おすすめ買取業者|着物10
着物10の基本情報 | |
買取方法/ エリア |
宅配買取:全国 |
申込方法 | インターネット 電話 |
受付時間 | 24時間 |
買取額の 支払い |
宅配買取:査定後最短即日銀行振込 |
公式サイト | 公式サイト |
着物10は創業28年の実績ある着物買取店。
買取方法は宅配買取のみで、持ち込みや出張は対応していません。
沖縄と離島以外の全国に、無料の宅配キットを送付してくれるので、段ボールやガムテープなどを自分で用意する必要がない点は便利です。
ただし、無料キットの利用は振袖・訪問着だと1枚から、その他の着物・帯の場合は5点以上からと数量に条件があるので、それより少ないときは自分で箱や梱包材を用意し、着払いで発送しましょう。
査定から入金までは即日のため、なるべく早く宅配買取で現金化したいという人に向いています。
また買取品目に長襦袢や和装小物も含まれるため、着物一式を片付けたいという人にもおすすめです。
まとめ
結婚するとどうして振袖を着ないのか、着てはいけないのか、その歴史を紐解いてみると、確かに頷ける興味深い答えが見つかりました。
「華やか」「おめでたい」「若々しい」漠然とそんなイメージがある振袖ですが、昔は恋の行方を左右する大切な役割を果たしていたのですね。
男女の初々しい恋のやり取りに思いを馳せながら、振袖という美しい伝統文化をこれからも大切にしていきたいものです。