押し入れやタンスに入れて大切に保管していた着物でも、いざ買取をお願いすると買い取ってもらえない場合があります。
では、どんな着物が買取の対象外になってしまうのでしょうか。
思い切って買取を依頼しても断られないように、あらかじめ買取不可の種類や条件を確認しておきましょう。
着物買取業者に買取を依頼しても、買い取ってもらえないことがあるって本当?
着物買取業者はどんな着物でも買い取っているわけではありません。
基本的に買い取った着物は、レンタル業者や呉服屋さんなどの着物業者や、オークションなどで次の買い手に売られていきます。
そのため売り物にならない着物や、需要の低い着物など、買い取ってしまってもそれよりも高い値段で売ることが難しい着物は買い取ってもらえないのです。
【買取不可】着物が買い取ってもらえない、値段がつかないケース
では、具体的に買取不可となるにはどのような条件があるのでしょうか。
- シミ、汚れ、傷み、カビなど損傷がひどい
- 防虫剤、タバコなどの匂いが強い
- 絹以外(ウール、ポリエステル)の着物
- 150センチ以下のサイズの小さな着物
- 喪服着物
シミ、汚れ、傷み、カビなど損傷がひどい
シミや汚れなどで損傷のひどい着物は買い取ってもらえません。買取業者も次の客に売らなければならないので、明らかに買い手が付かなそうな着物は買い取り不可なのです。
たとえば、正絹の着物であれば経年により黄変していることがあります。これは一般的な汚れとは異なり、絹そのものの色が変色してしまっているため、一度漂白した後、色が抜けてしまった部分を再度染め直さなくてはいけません。
買い取ったとしてもその後の手入れのための費用がかさむので、買取が難しいのです。
しかし、汚れが裏地にしか付いていなかったり、目立たない汚れであったりする場合は買い取ってもらえます。買い取ってもらえるかのポイントは、着物を着たときにその汚れがどれだけ目立つか、クリーニングで落とせるものかどうかです。
判断が難しい場合は一度査定員に見てもらうといいでしょう。
防虫剤、タバコなどの匂いが強い
防虫剤やタバコなどの匂いが残っている着物も買い取ってもらえない可能性が高いです。
長時間防虫剤と共に保管していたり、着用していた人が喫煙者だったりする場合、気づかぬうちに強いにおいが残っています。
また、保存環境が悪かったことによるカビ臭や、香水、ペットの匂いなどにも注意が必要です。
たとえ買い取ってもらえる場合であっても、念入りにクリーニングに出す必要があるので、その分査定代が下がってしまうでしょう。
絹以外(ウール、ポリエステル)の着物
一口に着物と言っても、価格はピンキリ。
それは購入するときに限った話ではなく、買取の場合も同様です。基本的に買い取り対象となるのはもとの価格の高い正絹などの絹製品。他に上布などは買い取ってもらえるでしょう。
一方、もとの価格の安いウールやポリエステルの着物は買取を断られる場合があります。
特にウール素材は虫が付きやすく、防虫剤や乾燥剤などによる対策や虫干しの手間がかかってしまうため、たくさんの着物管理する買取業者では扱いが難しいのです。
しかし、たとえウールやポリエステルでできた着物でも、保存状態が良いものやブランド物は買い取ってもらえることがあります。
最近では、観光客用のレンタル着物としてポリエステル製の着物の需要も高くなっているので、買取可能な品目にウールや化繊が入っている業者で一度査定してもらうのがいいでしょう。
150センチ以下のサイズの小さな着物
150センチ以下のサイズの小さな着物も買い取り不可になることがあります。
女性向けの着物は、着付けの際に「おはしょり」を作ることで全体の丈を調整します。そのため大きな着物であればたいていの人が着ることができるのです。大は小を兼ねる、ということですね。
また大きい着物を仕立て直して小さくすることは可能ですが、小さい着物を大きくすることは限度があります。具体的にいうと縫い代の余った布の分しか広げることができないのです。
しかし、こちらも状態が良かったり、柄やデザインが優れているものは買い取ってもらえる可能性もあります。
喪服着物
一般的に喪服として着用される着物も、買取不可の品目によくあがります。
というのも喪服自体着られるケースが限られており、最近ではレンタルで済ませる人が多いため、買い取っても売れにくいのです。
また誰かが喪に服している時に着用していた着物は縁起が悪いと思われることもあり、敬遠されがちということも考えられるでしょう。
また喪服は基本的に染め抜きの紋を入れるもの。家紋が入っていると一度紋消しをしなければならないため費用がかかってしまいます。
手間がかかる割に需要が少ないことから、喪服の査定自体行っていない業者もあるので注意しましょう。
しかし、五三の桐などの通紋の場合は誰でも着られるため買取をしてもらえたり、他の家の家紋であっても業者によっては数百円~数千円程度の値が付く場合もあります。
買取品目を確かめて査定依頼するといいでしょう。
買取不可な着物、値段がつかない着物を売りたい、処分したい場合の対処法
買取不可と言われ、値段がつかない着物でも処分できる方法がいくつかあります。持っている着物にあった処分方法を確認していきましょう。
- ネットオークション(ヤフオクなど)・フリマアプリ(メルカリなど)に出品する
- 着物バザーに参加して出品する
- 着物を住んでいる地域やNPO法人に寄付する
- 身近な友人や親戚に譲る
- 買取業者に処分を依頼する
ネットオークション(ヤフオクなど)・フリマアプリ(メルカリなど)に出品する
着物買取業者で買い取ってもらえなかった場合は、ネットオークションやフリマアプリに出品してみるという手があります。
買取業者のように見せて持って行ってもらうだけとはいかず、自分で交渉や梱包をしなければいけないデメリットはありますが、化繊やウールの着物を安く手に入れたいというユーザーも多く、生地が弱って着物としては着られない場合などでも、端切れ用として出品することができます。
たとえばフリマアプリ最大手の「メルカリ」では着物も取引されています。出品から配送まで自分で行うため、個人の負担は大きくなりますが、売値を自分で決定することができます。
業者では買取が望めない素材や喪服でも、価格の設定によっては売れる可能性もあるのでおすすめです。
また、ヤフーが運営するオークションサイトの「ヤフオク」も着物を多く扱っています。オークションに出品する場合は、購入者が人気の着物を求めて競り合うため、設定した販売価格より高額の取引になることも。
ただしどちらの出品でもネット上の取引になるため、写真では分からない汚れや匂いなどは必ず明記しなければなりません。購入後、返品やクレームなどが無いように気を付けましょう。
着物バザーに参加して出品する
着物バザーに参加してみるのも一つの方法です。
地域によっては数週間や数か月に一度、着物や古着などのバザーが開催されていることがあります。
特に着物専用のバザーだと着物の購入を考えている人が自然に集まるので、買い取ってもらえる可能性は高いです。近くで開催される着物バザーを探してみましょう。
着物を住んでいる地域やNPO法人に寄付する
状態はいいのにどうしても買い手が見つからない、バザーに出品するのはハードルが高いという場合は、寄付するという方法もあります。
地域の自治体やNPO法人の中には、不要な着物を引き取り、貧しい人に届けている団体もあるのです。お金にはならなかったとしても、ごみとして捨ててしまわずに誰かのために役立てられるなら素敵ですよね。
買取業者の中には値段のつけられない着物を引き取った後、処分ではなく寄付をしてくれるところがあるので、希望がある場合は査定員に伝えましょう。
もちろん自分で寄付先を探し、着物を送ることも可能です。
しかし、着物を寄付するということは、次に誰かが着る可能性があるということ。
寄付とはいえ匂いがきつかったり、生地が弱っていたりするものはかえって迷惑になるでしょう。着物として着られる状態か確認してから寄付するようにして下さい。
身近な友人や親戚に譲る
身近な友人や親戚に譲るというのも一つの手です。
保存状態の良い物なら譲った後でも長く着られるでしょう。また、最近はアンティークなファッションの一つとして着物が人気です。譲ってもらった着物をそのまま着るのもいいですが、リメイクすることで価値が増すかもしれません。
しかし、無理に押し付けることはやめてください。着物は保存が難しく、保管場所のスペースも必要になります。無理やりでなく、快く受け取ってくれる方に譲りましょう。
買取業者に処分を依頼する
上記のどの方法でも処分ができない場合、買取業者に処分依頼を出すことも可能です。
利益が出ることはありませんが、買取業者に依頼を出せば無料で処分してもらえます。
自分でゴミとして処分することもできますが、地域によっては一般ごみで捨てられない場合もあるため、可能ならそのまま業者に持って行ってもらう方が楽ちんです。
まとめ
買取不可の条件には様々なものがありましたが、買取が難しいものでも買い取ってくれる業者もあります。
自分で販売するときの目安にもなるので、買い取ってもらえるのか、どの程度の値段になるのかを試しに査定に出してみるのもいいかもしれません。